ハチミツを残したまま、群がいなくなった
「昨日まで元気に出入りしていたのに、翌日には巣箱が空っぽになっていた」「ハチミツをたっぷり残したまま、蜂だけが消えてしまった」——ニホンミツバチを飼っていると、こうした経験は決して珍しくありません。
私も調子良かった群れが何キロものハチミツを残して冬に消滅してしまったことがあります。
群が消える主な原因は以下のような3種類に分類できるかと思います。
- 外敵(スズメバチ、スムシ、盗蜜、哺乳類など)
- 病気・寄生虫(アカリンダニ、ウイルス病、腐蛆病など)
- 環境・管理(農薬、餓死、女王喪失、何らかの原因による逃去など)
この記事でわかること
この記事ではニホンミツバチの群れが消滅してしまう原因になる主な外敵や病気の概要を説明します。個別の詳しい対策は今後の別記事で掘り下げる予定です。
- ニホンミツバチの外敵と病気の全体像
- 季節別で、いつ・何を警戒すればよいか
- スズメバチ・スムシ・盗蜜・害獣への対策の基本
- アカリンダニ、サックブルード病、腐蛆病の基礎知識
- 農薬・餓死などのその他の消滅要因について
前提|ニホンミツバチの生存戦略と人が群れのためにできること
まず押さえておきたいのが、ニホンミツバチは「逃去(巣を丸ごと捨てて引っ越すこと)」という防衛戦略を持っている点です。環境が悪化して群れの存続が危うくなると、別の場所に引っ越して巣を作り直します。
逃げた方が生存率が高いために受け継がれてきた戦略で、元気な群れが逃亡することは稀と言われています。
ニホンミツバチは逃げやすいと言われる一方で、オオスズメバチに対して「熱殺蜂球(集団で取り囲み、筋肉の発熱で蒸し殺す技)」で戦うこともできます。
日本列島で長く生き延びる過程で、逃げる+戦うという生存戦略を編み出したんだと思います。
ニホンミツバチの消滅を避けるのために、まず重要なのが「強群を維持すること」と言われています。蜂の数が多い強群であれば、スムシもスズメバチもある程度は自力で防げます。
ただ、これが実際にはそう簡単ではないのです。分蜂で蜂数が減る春、分蜂で残された群れが無王になるリスク、夏の猛暑と蜜枯れ、冬の寒さと、群が弱る機会は一年中あります。
そこで、季節ごとの外敵や病気を知っておいて、できるだけ対策を打つことでより多くの群数を維持できるのではないかと思っています。本記事がその一助になれば幸いです。
入居後のやるべきことや夏の暑さ対策をまとめた記事でもミツバチの外敵や病気に触れていますので、本記事とあわせてご参考にしてください。


季節別リスク早見表|いつ何を警戒するか
季節ごとの主なリスクは以下となります。
| 時期 | 主なリスク |
|---|---|
| 3〜5月 | アカリンダニ、分蜂後の弱群化 |
| 6〜8月 | 夏分蜂による弱群化、巣落ち・逃去、スムシ、夏枯れ、農薬 |
| 9〜11月 | オオスズメバチ、スムシ、貯蜜不足、盗蜜 |
| 12〜2月 | アカリンダニ、餓死、害獣(アナグマ等) |
たとえば「冬にハチミツを残したまま消滅」ならアカリンダニ、、「夏に大量の死蜂」なら農薬、「秋に巣箱前で蜂の死骸が山積み」ならオオスズメバチ、という具合に、季節と症状の組み合わせで原因の見当がつきます。
本当の原因が何かは良く分からない時もありますが、その季節と症状から大体は判断ができます。
外敵① スムシ
スムシは「一次原因」ではないことが多い
スムシとは、巣を食べる蛾(ハチノスツヅリガとウスグロツヅリガ)の幼虫の総称です。「スムシにやられて群が消えた」という声はよく聞きますが、実はスムシ多くの群れにいて、強群であれば被害はほとんど出ないとも言われています。
つまり多くの場合、女王の不調、農薬の影響、アカリンダニ感染、入居後1ヶ月目くらいの新しい蜂が生まれる直前などで群が弱っている時に群れがスムシを排除できず、その結果としてスムシが繁殖すると考えられています。
なお、スムシについては、以下のアオヤギ式巣門台の記事でも詳しく説明しているのでご参照下さい。

私は2026年から改良アオヤギ式巣門台を使っていますが、2025年は夏分蜂で入居したほぼ全ての群れがスムシにやられましたが、2026年はスムシが多量に繁殖することはありませんでした。
驚いたのは夏分蜂で無王群となってしまった群れでもスムシが大繁殖まではしなかったことです。
なお、改良アオヤギ式巣門台の実際の使用では、プラスチックコンテナの中にコンクリートブロックを入れて重しとしたり、下が石や木のだった場合よりも、下がストレートに土の地面になっている方が群れの調子が良かったです。
毎年スムシに悩まされている方は以下の記事を参考に改良アオヤギ式巣門台を製作して試してみませんか?

外敵② スズメバチ|襲撃の兆候と対策の基本
オオスズメバチとキイロスズメバチの違い
日本国内には蜜蜂を捕食するスズメバチは8種類います。主にはキイロスズメバチとオオスズメバチの2種類がやって来ますが、襲撃方法がかなり異なります。
キイロスズメバチは巣門周辺をホバリングして蜜蜂を1匹ずつ捕まえるタイプです。被害は働き蜂が少し減る程度で、過度に心配しなくてよいと思います。
一方、オオスズメバチは別です。最初は1〜2匹が偵察に来て働き蜂を捕食して持ち帰り、やがて誘引フェロモンで仲間を呼び、集団攻撃に発展します。攻撃を受けたセイヨウミツバチの群は半日で全滅することもあり、巣箱内に侵入されると蜂児(ほうじ)と貯蜜まで奪われてしまいます。
ニホンミツバチはオオスズメバチに対抗する手段(熱殺蜂球)を持っているとはいえ、巣門を齧って広げられて侵入されたりすると同じ運命をたどりかねません。
襲撃の兆候と対策の基本方針
秋に巣箱の周りでオオスズメバチが偵察飛行を始めたら要警戒です。ミツバチが巣門前で尻を上げて警戒態勢をとる、外に出てこなくなる(籠城)といった様子も兆候になります。
また、オオスズメバチに巣門付近にフェロモンを付けられるとその匂いを消すために巣門の周りを舐めていたり、レタスなどの新芽を齧ってきて塗りつけることで匂いを消す様子が見られることもあります。
最も重要な対策は「巣箱の中に入れさせないこと」です。
巣門保護
巣門の開口部の高さは最初から6〜7mmとしましょう。この大きさだと蜜蜂は通れますが、オオスズメバチは通ることができません。
また、巣門をかじって広げられてしまわないように、金属板を貼るとより安心です。
私はダイソーのステンレスフリーステーを取り付けて使っています。110円なので安くて助かっています。

粘着シート
集団攻撃が始まりそうなら、スズメバチ捕獲器や粘着シートを併用すると良いかと思います。
スズメバチ捕獲器はちょっと製造が面倒なので、私は粘着シートを使っています。
捕まえたオオスズメバチを数匹粘着シートにくっつけておくと仲間が次々と誘引され、相当数を捕獲できます。市販のネズミ捕り用の粘着シートが使えます。
やってみたい方は最初の数匹を捕まえる時に刺されないようにご注意下さい。

(PR) 私はこの製品を使用していますが、他の同様の製品でも大丈夫だと思います。
巣箱全体を保護
また、巣全体を蜜蜂は通れるがスズメバチは通れないネットで覆うことも有効と言われています。巣門から少し離れた位置でスズメバチをシャットアウトすることができます。設置する際は地面との間に隙間を作らないこと、また、台風などで飛ばされないようにしっかり固定する必要があります。

(PR) 私は以下の製品を使っています。開口部はミツバチは通れますが、オオスズメバチは通れない大きさです。
オオスズメバチ対策としてのアオヤギ式巣門台
アオヤギ式巣門台の考案者の青柳さんは「スズメバチは入らないし、他のキイロスズメバチも入らない」「スズメバチが来てもすぐ諦める」とYouTube動画でおっしゃっていました。
私も改良アオヤギ式巣門台を設置したところ、蜜蜂が巣門を覚えるのに通常よりもかなり時間がかかりましたので(1週間位)、巣門台全体から巣の匂いが出ているのだと思います。
これによってオオスズメバチが巣門の位置を絞りにくくなるという効果があるのでは無いかと期待しています。2026年の秋に実際に確認する予定です。
外敵③ アカリンダニ症|冬季消滅と届出
気管に寄生するダニ
アカリンダニは、ミツバチの気管(呼吸の通り道)に寄生する体長0.1〜0.2mm程度の微小なダニです。日本では2012年にはじめて報告されました(2010年に長野県で初めて発生が確認されたという説もあります)。その後、全国各地で発生が報告されています。
成虫の大きさはメスが0.14〜0.18ミリ、オスが0.1から0.14ミリなので、肉眼で目視することは難しく、確認には顕微鏡が必要です。
気管がダニと卵で塞がれると酸素を取り込めなくなり、飛翔筋や発熱筋が働かなくなります。典型症状は次の通りです。
- 巣箱周辺の徘徊(飛べない蜂が歩き回る)
- Kウイング(後翅が飛び出してKの字に見える症状。ただし、確実な見分け方ではありません。)
- 冬季のコロニー消滅
「ハチミツを大量に残したまま冬に群が消えた」——冒頭の悩みの、最も典型的な原因のひとつがこれです。寄生された群は発熱による保温ができず、貯蜜があっても十分熱を発生させることができずに、消滅してしまいます。
アカリンダニ症は家畜伝染病予防法上の届出伝染病に指定されていますので、疑われる場合は所管の家畜保健衛生所に相談するとよいかと思います。
承認薬は無い
ここが悩ましいところなのですが、現在、日本でニホンミツバチのアカリンダニ症に使用できる承認薬剤はありません。
カナダではギ酸がアカリンダニ防除薬として承認されていますが、日本では承認されていません。ギ酸は劇物ですので、もし使用される場合は取り扱いに厳重に注意が必要です。
メントールを巣箱内で蒸散させる方法、ショートニングと砂糖を練ったパテを与える方法、ギ酸を使う方法、ニホンハッカの葉を使う方法、レモンを使う方法、などが愛好家の間で知られていますが、これらは承認された治療法ではなく、あくまで自己責任での使用に関する参考情報となります。
外敵④ 盗蜜
盗蜜と給餌の注意
蜜源が枯れる時期(真夏や晩秋)には、セイヨウミツバチや他のニホンミツバチ群による盗蜜(とうみつ:他群の貯蜜を奪う行動)が起きやすくなります。
弱群が狙われやすく、盗蜜をきっかけに病気が持ち込まれることもあると言われています。蜜枯れ期は巣門を狭めて守りやすくすることが望ましいです。
もし、群れの勢いが良くなくて給餌をする場合は、匂いで他群を呼び寄せないような配慮が必要です。
日中に屋外で大量に与えるのは盗蜜の引き金になりがちですので、夜に入れて朝には取り出すのがベターです。また、少しでも砂糖の匂いが外に漏れないようにスノコの上に置くほうが良いでしょう。
外敵⑤ 害獣
哺乳類|アナグマ被害の実体験
哺乳類の被害も侮れません。
私の場合、群が弱っていた2月に、アナグマ(と思われる動物)が執拗にやって来ました。底板を破壊され、巣箱を固定していた荷締めバンドまで噛み切られたんです。
アナグマはハチミツが溜まっている弱群を見分けて格好の標的するのだと痛感しました。電気柵や防獣ネットを組み合わせて対策するしかないかと考えています。
また、クマの生息域では電気柵が必須と考えてた方が良いかと思います。幸い私の地域はクマはいないのですが、2025年に隣の街でクマが見つかったという報告もあり、今後生息域が広がっていかないかちょっと心配しています。
小型捕食者・その他
カマキリ、シオヤアブ、オニヤンマ、ツバメなども働き蜂を捕食しますが、群全体への影響は限定的で、あまり気にしなくてよいと考えています。ツバメは交尾に出た女王を捕食することがあると言われていて、少し気にはなりますが。
時々巣箱を観察して、アリ、ゴキブリ、ナメクジ、クモ、ヤモリがいたら排除しています。これらは強群の場合はあまり気にしないようにしています。
ウイルス病・腐蛆病・その他の寄生虫
ミツバチヘギイタダニ
ミツバチヘギイタダニ(学名:Varroa destructor)は、大きさが1.15から1.75mmくらいのダニで、色は小豆のような赤褐色です。ミツバチの体表に取り付いたり、巣箱のスノコの上などを這っているところを肉眼でも観察できます。私も何度も見つけています。
このミツバチヘギイタダニの感染によって生じる病気は「バロア症」と呼ばれ、特に、セイヨウミツバチで甚大な被害を及ぼします。また、複数のウイルスも媒介するとされています。バロア症と呼ばれるのはミツバチヘギイタダニの属名がバロア(Varroa)だからですね。
ミツバチヘギイタダニはもともとトウヨウミツバチの寄生虫で、ここから養蜂のためアジア各地に導入されたセイヨウミツバチに感染しました。
ニホンミツバチは仲間同士のグルーミングでダニを払い落とせるため重大な病状には至りにくいと言われています。ただし、これはあくまで健全群での話で、弱群では群れの調子を更に落とす原因になっているように感じています。
さて、通常の底板を使用する飼育ではスノコの上などでミツバチヘギイタダニを見つけた経験が結構あります。ということは、ニホンミツバチがグルーミングで払い落とししても、ヘギイタダニは底板からまた巣に這い上がってきているんでは無いかと思っています。アオヤギ式巣門台にすれば、振り落とされたミツバチヘギイタダニは地面まで落ちますから、這い上がってくる確率がかなり下がるのではないかと期待しています。
また、ミツバチヘギイタダニにはアピスタン、アピバール、チモバールという3種類の動物用医薬品が認可されており、主にセイヨウミツバチで使われています。
実は私も晩秋に勢いを無くした群れに対してアピスタンを使ったところ、群の勢いが復活した経験があります。ただ、元々ミツバチヘギイタダニへの対抗手段(グルーミングで払い落とす)を持っているニホンミツバチについては、アオヤギ式巣門台でそれをちょっと手助けしてあげれば十分ではないかと最近は考えています。
サックブルード病とそれ以外の「児出し」の見分け
サックブルード病はRNAウイルスであるサックブルードウイルスが幼虫に感染することで起こる蜂児の病気で、感染した幼虫は袋(サック)状になり、頭部側に水がたまった透明な状態になります。トウヨウミツバチ(ニホンミツバチを含む系統)では重篤な被害が報告されており、日本でも西日本を中心に流行したことがあると言われています。
感染幼虫は働き蜂によって巣の外に捨てられるため「児捨て」が目立ちますが、児捨て自体はスムシ被害や農薬でも起こります。捨てられた幼虫が袋状・透明かどうかが見分けのポイントです。
私も2025年の夏にかなりの児捨てがありましたがこれはスムシによるものでした。私自身は幸運なことにまだサックブルード病は経験したことはありません。
ウイルス病に有効な薬剤はなく、いったん感染が広がるとその群れは消滅してしまうことが多いとのことです。巣枠式で初期に感染を発見できれば感染幼虫を取り除くなどの対応のやりようもあるかもしれませんが、重箱式では困難かと思います。
RNAウイルスなので熱で不活化させる事ができます。サックブルード病で消滅した群れの巣箱や道具は熱湯消毒したり、バーナーで炙って消毒し、また、群間での道具の共有を避けると良いと思います。
腐蛆病|疑ったら家畜保健衛生所へ、自己処分は不可
腐蛆病(ふそびょう)は蜂児を侵す細菌感染症で、アメリカ腐蛆病とヨーロッパ腐蛆病があり、家畜伝染病予防法の法定伝染病に指定されています。
ニホンミツバチについてはアメリカ腐蛆病の罹病例はあるが、ヨーロッパ腐蛆病の罹患例はないとされています。
重要なのは、疑わしい症状(巣房の蓋の陥没や小孔、腐った幼虫が糸を引く、刺激臭など)を見つけたら、必ず家畜保健衛生所へ連絡することです。法定伝染病ですから、自己判断での処分はできません。
アメリカ腐蛆病菌は芽胞(がほう:熱や消毒に極めて強い殻状の休眠形態)を作るためちょっとやそっとの加熱処理では根絶が難しいと言われています。発生蜂群は巣箱ごと焼却するように指示されるかと思います。
ノゼマ症、チョーク病
いずれも届出伝染病です。
ノゼマ病は微胞子虫が消化管に寄生する病気で、下痢便や徘徊が特徴です。症状がアカリンダニと似ているため混同されやすく、「アカリンダニだと思い込んでいたらノゼマだった」というケースも愛好家の間で報告されているようです。
私の経験だと冬に巣箱の外に黄色い下痢便をつけハチミツを残して消滅した群れがいて、てっきりアカリンダニだと思っていたのですが、もしかしたらノゼマ症だったのかもしれません。
チョーク病は幼虫が白くミイラ化する真菌(カビ)の病気で、湿気の多い環境で発症しやすいとされます。
外敵でも病気でもない消滅|農薬、餓死、女王喪失、夏の巣落ち
見落とされがちなのが、管理側・環境側の要因です。
農薬については、農林水産省の調査で、蜜蜂被害の発生は水稲のカメムシを防除する時期(7〜9月頃)に多く、死虫からはカメムシ防除に使用可能な殺虫剤が検出されたと報告されています。
ネオニコチノイド系を含む殺虫剤の散布期に、巣箱前に大量の死蜂が出たらこれを疑いましょう。周辺農家との情報共有や、水田に囲まれた場所を避ける設置が有効な対策とされています。
餓死は冬〜早春の大敵です。何らかの理由で十分な蜜が集められない場合があります。その際には越冬前に貯蜜量を確認し、不足していれば蜂がまだ活動できる晩秋までに給餌するという対応が考えられます。給餌の際は加熱による品質劣化(HMFの問題)にも注意が必要で、詳しくはHMFの記事で解説しています。

女王喪失による無王群も、じわじわと群が縮小して消滅する原因になります。兆候や対処は今後別記事で解説する予定です。
夏の巣落ち(暑さで巣板が落下する事故)は逃去の引き金になるため、暑さ対策の記事をあわせてご覧ください。

予防の基本や法律、薬剤について
予防の基本
ここまでの内容を裏返すと、予防の基本はシンプルです。
- 強群を維持する(すべての対策の土台)
- 設置場所を選ぶ(風通し、直射日光回避、水田密集地を避ける)
- 定期的な点検と記録(異変の早期発見につながります。飼育記録ノートを1冊用意すると便利です。私は管理アプリを作りました。)
- 道具の消毒と、群間での使い回しを避ける
- 他所からの群の購入を避ける(病気やダニの持ち込みリスクが高いため。地元の分蜂群の自然入居が基本です)
法律
法律面も注意が必要です。
腐蛆病は法定伝染病、アカリンダニ症、ノゼマ症、チョーク病、バロア症は届出伝染病で、いずれも発生を疑ったときは家畜保健衛生所へ連絡しましょう。
また、ミツバチを飼育する方は、養蜂振興法に基づき原則として毎年1月末までに飼育届を都道府県に提出する必要があります。ニホンミツバチも重箱式でも対象で、届出をしないと過料に処されるおそれがあります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

薬剤
薬剤については、日本で承認されているミツバチ用医薬品は腐蛆病予防薬とダニ駆除薬に限られ、市場規模が小さいため種類がごく少ないのが現状です。
アカリンダニに使える承認薬は存在しません。メントールやギ酸はあくまで「自己責任」での使用になります。
家畜伝染予防法と感受性
京都産業大学の高橋先生の著作、「ミツバチの秘密」によると、家畜伝染予防法には以下の病気や害虫が記載されているとのことです。腐蛆病など届出義務があったりもしますので、これらの感染が疑われるときには最寄りの家畜保健衛生所に相談されることをお勧めします。
「ミツバチの秘密」の第6章から以下の表を引用させていただきます。ニホンミツバチとセイヨウミツバチのそれぞれの病気に対する感受性の違いが示されています。この表からニホンミツバチは比較的病気に強いことが分かりますが、近隣で飼育されているセイヨウミツバチへの影響を考える上でもとても参考になりますね。
引用:
表1 国内におけるミツバチの家畜伝染予防法に該当する疾病と感受性
| 病名 | 原因 | 感受性* | 法定区分 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| ニホン ミツバチ | セイヨウミツバチ | ||||
| 細菌 | アメリカ腐蛆病 | アメリカ腐蛆病菌 Paenibacillus larvae | 低 | 極高 | 家畜伝染病 |
| ヨーロッパ腐蛆病 | ヨーロッパ腐蛆病菌 Melissococcus plutonius | 無 | 高 | ||
| ダニ | バロア病 | ミツバチヘギイタダニ Varroa destructor | 低 | 極高 | 届出伝染病 |
| アカリンダニ症 | アカリンダニ Acarapis woodi | 高 | 無 | ||
| 真菌 | チョーク病 | ハチノスカビ Ascosphaera apis | 無 | 高 | |
| 微胞子虫 | ノゼマ症 | セイヨウミツバチノゼマ Nosema apis | 無 | 低 | |
| ウイルス | 麻痺病 | 麻痺病ウイルス Paralysis virus | 無 | 高 | その他 |
| サックブルード病 | サックブルードウイルス Iflaviridae: Iflavirus | 高 | 低 | ||
| チヂレバネウイルス病 | チヂレバネウイルス Deformed wing virus | 低 | 高 | ||
*5段階(極高、高、中、低、無)で示す。
(PR)詳しくは高橋先生の書籍「ミツバチの秘密」をご参照ください。
まとめ|原因を季節と症状で絞り込む
最後に、ニホンミツバチの外敵と病気を切り分けるためのチェックリストとして、要点を振り返ります。
- 冬にハチミツを残して消滅 → アカリンダニ(またはノゼマ)を疑い、家保へ相談
- 秋に巣門前で死骸多数・大型の蜂の姿 → オオスズメバチ
- 夏に大量の死蜂 → 農薬(周辺の防除時期を確認)
- 巣がスムシだらけ → スムシは結果。群が弱った真の原因を探す
- ハチミツも残っていない消滅 → 蜜源不足による逃去や餓死の可能性
今季すぐに着手できる予防は、(1) 巣門を狭めてオオスズメバチの侵入経路を断つ、(2) 点検記録をつけて異変を早期発見する、(3) 越冬前の貯蜜チェック、の3点です。
ニホンミツバチはセイヨウミツバチに比べて病気や害虫に比較的強いとは言われていますが、外敵も病気もゼロにはできません。季節と症状で原因を想定して、早めに手を打てば群れを維持できる確率も上がると思います。
関連記事もぜひ参考にしてください:アオヤギ式巣箱(2本)、夏の暑さ対策、入居後対応7選、給餌とHMF、蜜蜂飼育届。
参考文献
(PR) 本記事の作成にあたっては京都産業大学の高橋先生の著作の第6章を参考にさせて頂きました。ミツバチを長く研究されてきた先生の著作であり、ミツバチの外敵や病気についてもとても詳しく解説されているので、ニホンミツバチを飼育している方は必読と思います。
Kindle電子版はこちらからご覧ください。
参考記事
スムシやアカリンダニについてはこちらの記事でも詳しく説明していますので、参考にして下さい。

スムシ対策にかなり有効なアオヤギ式巣門台について詳しく知りたい方はこちら。

私がアオヤギ式巣門台を改良した「けーあい式」巣門台の詳しい作り方はこちらをご覧ください。スムシだけではなくて、ミツバチヘギイタダニにも有効ではないかと考えています。

ニホンミツバチ飼育全般について以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。

参考:YouTube動画
私がニホンミツバチを飼育している様子をYouTube動画にしていますので、良かったらご訪問いただければと思います。
YouTubeチャンネルはこちらです。
本記事の内容を分かりやすく解説するYouTube動画も作成予定です。
終わりに
ここまで読んでくださりありがとうございました。この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
それでは、楽しい養蜂ライフを!

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