「せっかく入居してくれた群れが、夏にスムシだらけになってしまった」「猛暑で巣が下に落ちてしまった」——ニホンミツバチの飼育を続けていると、多くの方がこの2つの壁にぶつかります。また、秋のスズメバチ対策も頭が痛いところ。
そんな悩みに対して、日本蜂飼育愛好家の間で評判を集めているのが「アオヤギ式巣門台(すもんだい)」です。重箱式巣箱の一番下に置く、底のない構造を持った台で、スムシ対策、夏の暑さと巣落ち対策、スズメバチ対策の3つに効果があるとされています。
この記事では、アオヤギ式巣門台の仕組み・効果・弱点・季節別の使い方・他方式との比較・コンテナ活用まで、できるだけ詳しく解説していきます。なお、具体的な作り方・寸法・コツは別記事で詳しく扱いますので、本記事は「導入を検討するための判断材料」として読んでいただければと思います。
先に結論:アオヤギ式は「スムシ+夏の暑さ」に効く。ただしいくつか欠点も
忙しい方のために、先に結論からお伝えします。
アオヤギ式巣門台は、スムシ被害の軽減、夏の暑さと巣落ち対策、スズメバチ対策にメリットがある一方で、冬の保温と木材の耐久性という弱点を抱えています。ただし、これらの弱点は工夫すれば対処可能です。
こんな人に向いている/向いていない
向いていると思われるのは、次のような方です。
- 温暖な地域、もしくはスムシ被害が多い地域で飼育している方
- 夏の巣落ちや高温に悩んでいる方
- 底板掃除の手間をなるべく減らしたい方
- スズメバチ対策に苦労されている方
- 複数群を飼育していて、管理を省力化したい方
逆に、以下の場合にはあまり向いていません。
- これから入居を狙う「待ち箱(捕獲用の巣箱)」として使いたい方
- 見た目のデザイン性を重視したい方
考案者のハニー工房・青柳氏は、底が開きすぎていることから「待ち箱としては入らない」とはっきり述べています。この点は導入前に必ず押さえておきたいポイントです。
木製の弱点はコンテナ利用で解決できる
アオヤギ式の最大の弱点は、木製の場合に地面と接する部分が数年で腐ってしまうことです。考案者自身も「1年ほどで虫が木を食べて弱くなり、放置していたら倒れたことがある」と語っています。
しかし青柳氏自身がアオヤギ式IIとしてYouTubeで紹介しているように野菜収穫用のプラスチックコンテナを活用することで、この腐食問題を解決できます。後半で詳しく紹介します。
アオヤギ式巣門台とは?まず基本を押さえる
名前の由来:明治期の「青柳式巣箱」とは別物
まず混同を避けるために触れておきたいのですが、「アオヤギ式」という名前は、明治期に知られた「青柳式巣箱」とは別物です。文献上に古い「青柳式」の記録が残っていることもありますが、ここで扱う現代の「アオヤギ式巣門台」は、それとは系譜が異なる現代の考案物です。
現代のアオヤギ式を考案したのはハニー工房・青柳秀明氏
現代のアオヤギ式を考案したのは、福岡県の山奥、石釜で活動する養蜂家「ハニー工房」の青柳秀明氏です。ハニー工房のサイトでは、アオヤギ式巣箱が生まれた経緯がブログに記載されています(残念ながら③に続くとなったままで更新されていないようです)。
YouTubeでも多くの動画が公開されており、熱心なユーザーが寸法や工程を再現した動画を作っているほどで、その効果と手軽さから全国に広まっていきました。
レース仲間の方のYouTubeチャンネルでしょうか?「ストライフの庭」というYouTubeチャンネルで青柳氏にインタビューしている動画があり、ここから広がったのではないかと思っています。特に以下の2本に注目です。
- [YouTube] 【スムシ】被害ゼロの【アオヤギ式巣箱】を解析する/ニホンミツバチ【梅雨明け】 — https://www.youtube.com/watch?v=1HELJ06PH5o
- [YouTube] 【ニホンミツバチ】スムシ被害なし。/石釜養蜂家ハニー工房/アオヤギ式巣箱 —https://youtu.be/QwrbAoSTNJo?si=FM7mW6XwvYaL368B
重箱式巣箱における「巣門台」の位置づけ
ニホンミツバチの重箱式巣箱(じゅうばこしき、底のない四角い箱を積み重ねる方式)は、初心者にとって最も扱いやすい定番の方式です。この巣箱の一番下には台がありその上に巣門を設けます。
重箱式巣箱の台には、コンクリートブロック、排水桝、プラスチックコンテナ、ビールケース、鉄製台など色々なものが使用できます。
巣門と台を一体式にすることもできて、その場合は「巣門台」と呼びます。つまりミツバチの出入り口(巣門)を備えた土台ということです。有名な例としては鉄製台が該当します((PR)週末養蜂さんの鉄製台)。
アオヤギ式はこの巣門台の一種という位置づけになります。普通の巣門台が「底板」を持つのに対し、アオヤギ式は底板を持たない点が最大の特徴です。
アオヤギ式巣門台の構造:底なし設計のしくみ
巣くずを地面へ落とす「底なし構造」
アオヤギ式の本質は、ひとことで言えば「底なし構造」です。重箱式巣箱の最下段の底板を取り付けず、巣くずなどが地面に直接落ちるようにした構造です。
通常の巣箱では、底板の上に巣くず(ミツバチがかじり取った巣のかけらやゴミ)が溜まっていきます。アオヤギ式では、この巣くずがすべて地面へ落ちる仕組みになっているため、巣箱内に「ゴミ溜まり」ができません。考案者も「巣門台の下に網は不要で、そのまま地面に直通させる」と説明しています。
具体的な構造としては、4本の柱の四方と上面に板を貼って下の開いたボックス状にします。上面には巣箱内寸と同じ穴を開けます。そして、縦方向の壁となった板にも四角い穴を開けて、そこを蜜蜂が通れるメッシュ素材で覆って通気口兼巣門にしています。
巣門兼通気口のサイズ設計と数
巣門の開口部の目の大きさは非常に重要です。考案者は、市販のメッシュ素材を流用しており、その目の高さが「ギリギリ6mm」であることをひとつの目安にしています。
一般にニホンミツバチの巣門は6〜7mmがベストとされ、これより大きいとスズメバチが侵入しやすくなります。一方で、巣門の高さを狭くすればスムシ(ハチノスツヅリガ・ウスグロツヅリガ)の侵入を防げるかというと、それは事実上不可能です。働き蜂が出入りできる高さなら、体高の低いツヅリガも通り抜けてしまうためです。つまり巣門サイズはあくまで「スズメバチ対策」として効く数字だと理解しておきましょう。
通気口兼巣門の数については、考案者の経験上の結論があります。当初は4か所作っていたものの、「4か所はいらない、2か所で十分」「前と、風の入る左右どちらか、好きな方の2か所がベスト」と語っています。
アオヤギ式巣門台でなぜスムシ被害が減るのか
スムシとは何か?ハチノスツヅリガとウスグロツヅリガの違い
そもそもスムシとは何でしょうか。スムシとは、蜜蜂の巣をエサにする蛾(ガ)の幼虫の総称で、日本国内には主に2種類います。
- ウスグロツヅリガ:日本古来の在来種で、ニホンミツバチと長い歴史の中で共存共栄してきました。幼虫は全体的に薄黒く小ぶりで、主に底板に溜まった巣くずやゴミを食べます。
- ハチノスツヅリガ:外来種と言われています。食欲旺盛かつ活発。群れが弱体化し始めると容赦なく巣全体を食い荒らします。多くの飼育者にとって厄介なのはこちらです。
スムシは「巣のお掃除屋さん」とも呼ばれ、自然界では木の洞にあった古い巣をきれいに分解し、新しい群れが巣を作れるようにする役割を担っていますので、決して「悪者」とだけ言い切れない面があります。
スムシによる悪影響にはどんなものがある?
とはいえ、飼育下でスムシが異常繁殖すると深刻な問題になります。育児スペースや貯蜜スペースを食い尽くされると、ミツバチは生活できなくなり、巣を捨ててどこかへ逃去(とうきょ)してしまいます。また、繁殖を放置すると巣箱の木材自体に穴を開けてダメージを与えてしまいます。
スムシが巣底に発生するメカニズム
スムシはなぜ巣底に発生するのでしょうか。ツヅリガは多くの場合、夜間に巣門から巣箱内へ侵入し、底板や巣箱の隅あたりに卵を産みつけます。また、巣箱と巣箱の間に隙間がある場合は、隙間のあたりに卵を産みつけることがあります。
孵化した幼虫は巣箱内を巣板に向けて移動し、巣に到達すると巣の中に侵入して巣や花粉などを餌に成長します。
温床をなくす=繁殖サイクルを断つ:底なし構造の効果
ここでアオヤギ式の効果が見えてきます。巣クズが溜まったりツヅリガが卵を産みつけやすい「底板」という場所そのものを無くしている点が最大のポイントです。
さらに、巣箱内で生まれたスムシも、何かの拍子に落ちたりミツバチに振り落とされたりすると、落ちた先は地面です。二度と登れないばかりか、アリやクモの餌食になってしまいます。
巣くずという「幼虫の餌」が底に溜まらないことも、繁殖サイクルを断つうえで大きな意味を持ちます。
「被害ゼロ」は本当か?効果の範囲と注意点
「被害ゼロ」という表現は、文字通りスムシが一切いなくなるという意味ではなく、大きな被害につながりにくくなるという経験談として受け止めるのが現実的です。
根本原因は群れの弱体化:スムシっ子カードとの併用も
スムシが異常繁殖する本当の理由は、女王蜂の不具合や病気といった内的要因、蜜源不足、アカリンダニ被害、農薬などの外的要因によって蜂数が大幅に減り、働き蜂による巣の管理が行き届かなくなった結果として起こります。
つまり、スムシは「諸悪の根源」ではなく「群れ弱体化の結果」であることが多いと言われています。であれば、最も大切なのは強勢群(蜂数の多い元気な群れ)を維持することです。健康な強群であれば、巣板がびっちりとミツバチで覆われ、スムシが食べる隙は無いと言われています。
ただ、強群を維持すると言われても具体的にどうすれば良いのかが分からないですよね。給餌、アカリンダニ対策、えひめAI-2(えひめあいに)などを使用してもどうしても弱い群れもいます。
そのような場合には「スムシっ子カード」を使用するのも良いと思います。2020年にビー・セブン・プロダクツから発売された製品で、生まれたばかりのスムシを誘引し、生物農薬で安全に殺す仕組みです。ただし、開発者の西村氏も認める通り、効果があるのは1〜2mm程度の孵化したばかりの幼虫に対してのみで、1cm以上に成長した抵抗力のあるスムシには効かないことには注意が必要です。
(PR) 「スムシっ子カード」は現在改良版の「スムシっ子カードII」が発売されています。1セットはこちら。20セットはこちらです。
スムシ対策以外のアオヤギ式の効果
夏の換気・対流による温度低下効果
アオヤギ式は、スムシ対策と並んで「夏の暑さ対策」に大きな効果があります。底が開いていることで風通しが良くなり、巣箱内の温度上昇を抑えられるのです。考案者も「風通しがいいから、中の温度がもう上がらない」「夏はものすごく良い」と語っています。
近年の猛暑は本当に深刻で、コンクリートの照り返しなどで予想以上の高温になることもあります。ニホンミツバチは水を集めて打ち水のように巣を冷やそうとしますが、それにも限界があります。そんな中で、底からの自然な対流で熱を逃がせるアオヤギ式は、理にかなった構造と言えるでしょう。
もちろん、暖かい空気は上に登りますので、無風時に巣箱内が完全に換気されるわけでは無いと思いますが、少し風があれば下からでも十分な換気が見込めます。
巣落ちリスクの低減:夏の採蜜後が特に重要
夏の最大の恐怖が「巣落ち」です。暑さで巣が柔らかくなり、重さに耐えられず丸ごと落下してしまう現象で、こうなるとその群れはダメになってしまいます。
特に注意が必要なのが、夏の採蜜後です。重箱式では採蜜した後に巣落ちしやすいとされ、無理に2段採取したケースなどで巣落ちが報告されています。アオヤギ式で巣箱内の温度を下げておくことは、この巣落ちリスクの低減につながります。考案者も「これに交換してから、ほとんどすぐ落ちたり逃げたりすることがなくなった」と述べています。
底板掃除の手間が不要になる
地味ですが大きなメリットが、底板掃除の省力化です。巣くずがすべて地面に落ちるため、定期的に底板を掃除する必要がほぼなくなります。
週に1回底板を掃除するような方法は、効果が期待できないだけでなく、不要な刺激を与えて逃去を誘発する恐れもあると指摘されています。底板自体がないアオヤギ式なら、この悩みから解放されます。複数群を飼育している方には、特にありがたいポイントでしょう。
スズメバチ対策にもなる
アオヤギ式のもう一つの利点は、スズメバチが諦めて帰っていくことです。考案者は「スズメバチは入らないし、他の黄色スズメバチも入らない」「スズメバチが来てもすぐ諦める」と述べています。
台の底を完全に網(フレームだけ)にした場合、スズメバチが台の下でホバリングして、中のミツバチが怯えてしまうという問題が起きたため、考案者は底をきれいに囲う仕様に変更したところ、良い結果が得られたとのことです。
私も鉄製台の四面巣門にしていた時に、底板を一部金網にして暑さ対策をしたことがあるのですが、金網の下でオオスズメバチがホバリングして蜜蜂があまりお出かけしなくなってしまった経験があります。
スズメバチに蜜蜂のターゲットを絞らせないという効果があるのだと思います。
木製からコンテナ利用へ:みんなの工夫
オリジナル木製が抱える腐食問題
木製アオヤギ式の最大の悩みは腐食と、製作の手間です。考案者も「1個か2個ならいいけど、毎年20〜30個も作るのは無理」「作るのが大変」と心情を吐露されています。
野菜収穫用コンテナの流用が広まっている理由
そこで考案者がたどり着いたのが、野菜収穫用のプラスチックコンテナの流用です。これがアオヤギ式の決定版とも言える工夫です。
メリットを考案者の言葉でまとめると、こうなります。「虫も食わないし、雨風にも強い」「上から7段ぐらい積んでも全然どうもない」「むちゃくちゃ安く出来上がる」。コンテナを切って、巣箱が乗るように穴を開けるだけという手軽さで、しかも農家がその辺に捨てているものを「これいいですか」と声をかければ譲ってもらえることも多く、コストはほぼゼロだといいます。
選ぶ際のポイントは、スリットの幅です。「6mmギリギリ」の縦長の目のものを選ぶのがコツで、ひし形などの大きな目のものではダメだと述べています。再利用にもなり、環境にも財布にも優しい方法です。
ただ、Amazonや楽天などの大手ネットショップではちょうど良いスリット幅の製品が見つからない、または、見つかっても高額でした。農家さん経由などツテのある方にはとてもメリットがあると思います。
素材選びの考え方(詳細な加工手順は自作記事へ)
素材選びの基本的な考え方をまとめると、次の通りです。
- 耐久性:プラスチック(コンテナ・苗箱)は腐食せず長持ちする
- スリットの目:スズメバチ侵入を防ぐため6〜7mm程度の縦長の目を選ぶ
- 強度:複数段を積んだ重量(20kg超になることも)に耐える剛性が必要
- コスト:農協や農家から譲ってもらえる廃材なら極めて安価。購入すると比較的高価。
なお、具体的な加工手順・寸法・安く抑えるコツは別記事(自作記事)で詳しく解説する予定です。
季節別の使い方:底板の脱着タイミング
梅雨明け前後に底板を抜くのが基本
アオヤギ式の基本は、梅雨明けまでには底板を無くすことです。YouTubeで考案者は「梅雨が終わる前ぐらいにやった方がいい」と明言しています。
ちょうどこの時期は、スムシが湧き出し始め、気温も上昇していく季節ですので、合理的だと思います。
なお、底板を抜く作業は手早く行うのがコツです。ゴトゴトと時間をかけると、違和感を感じたミツバチがたまに逃げてしまうことがあるためです。十分準備して、作業自体は短時間で済ませましょう。
夏季:換気と巣落ち防止を最優先する
夏季は、とにかく換気と巣落ち防止を最優先します。アオヤギ式による底からの換気に加えて、次のような基本対策を組み合わせると効果的です。
- 日陰(木陰など)に置く
- 強い西日を避ける
- 直射日光が当たる場所では遮光する、日除け板をつける
- 夏の採蜜は避ける
巣箱の板厚も重要です。別記事(重箱式巣箱の作り方)でご紹介したように、断熱性を考えると35mm厚めの板がお勧めです。板厚が厚いほど外壁の熱が内部に伝わりにくくなるためです。猛暑対策には、こうした基本の積み重ねが効いてきます。
冬季:底板を戻すか、そのままにするか?考案者の青柳氏の判断も参考に
さて、多くの方が悩むのが冬の扱いです。底が開いていると当然冷えるため、保温の観点から「底板を戻すべきか」という疑問が生じます。
これについては、考案者自身が興味深い見解を示しています。「うち辺りはマイナスになることはない」「群れが大きいときはそのままの状態で、群れが細い(弱い)ときは底板を敷けばいい」とおっしゃっています。
地域差も大きく、「九州以外は下に板を引いた方がいい」とも語られています。
実際、ユーザーからは「夏から使っているが、冬の寒さ対策はどうすれば」という質問が多く寄せられており、底板を入れる方、そのままにする方、底をステンレスメッシュにして雨天時だけ底板を入れる方など、対応はさまざまです。
ただし現実的な問題として、冬前の巣箱は4段から6段も積み重なっていることが多く、それを持ち上げて底板を挟むのは大変な作業です。重い巣箱は20kgを超えることもあり、作業には複数人が必要になる場合もあります。アオヤギ式巣門台は、この「持ち上げ問題」が、冬の運用における最大のネックと言えるでしょう。
他の方式との比較
アオヤギ式を検討するなら、他の方式との違いも知っておきたいところです。主要な方式を比較してみましょう。
鉄製台(四面巣門)との比較
鉄製台は、巣箱を置くだけで四面が金属でカバーされた巣門になる方式です。底板の上に風が通り、巣くずが溜まりにくい構造を持ちます。四方向の大きな巣門がすべて金属でカバーされているため、スズメバチに齧られて侵入される心配がなく、夏場の風通しも良好です。お値段はそこそこしますが、耐久性と安心感は大きな魅力です。
集水枡を使った四面巣門との比較
集水枡(コンクリート製の枡)を流用する方法もあります。コンクリート製のタイプは、底板自体がなく巣くずが枡内に直接落ちる点でアオヤギ式に近い発想です。腐食に強く重量で安定します。ただ、集水枡の上には鉄アングルを溶接して専用の巣門枠を作成する必要があります。オークションサイトで販売もされていますが、集水枡+巣門枠で1万円くらいになります。
底網式との比較
底を網にする「底網式」は、巣くずを下に落としつつ通気を確保する方式です。底を網にして風通しを良くすることは、巣くずの除去と湿度低下の両面で意味がありますが、巣クズが地面まで落ちないので掃除の必要があります。また、鉄製台の底板の一部を網にした場合はスズメバチ対策が弱いということは上述の通りです。
比較表でまとめて整理
| 方式 | スムシ対策 | 夏の換気 | 冬の保温 | 耐久性 | 待ち箱 | コスト |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アオヤギ式(木製) | ◎ | ◎ | △ | △ | × | 安い |
| アオヤギ式(コンテナ) | ◎ | ◎ | △ | ◎ | × | 安い |
| 鉄製台(四面巣門) | ○ | ◎ | ○ | ◎ | △ | 高い |
| 集水枡・コンクリート | ○ | ○ | ○ | ◎ | △ | 高い |
| 底網式 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 |
※評価は一般的傾向に基づく目安です。地域や置き場所により実際の効果は変わります。
アオヤギ式の課題と対策
ここからは、実際の弱点とその対処法をお伝えします。
課題①:冬の保温(底が開いて冷える)と対策
底が開いている以上、冬の冷え込みは避けられません。対策の基本は、前述の通り「群れの状態を見て底板を差し込む」ことです。九州以外の地域では、底板を入れる運用が無難でしょう。巣箱を持ち上げなくても後から底板を差し込める構造とするか、持ち上げ機の用意が必要です。
課題②:地面接地部の木材が数年で腐る問題と対策
木製アオヤギ式の宿命が腐食です。柱や接地部の木材は1年ほどで虫が食べ始め、放置すると倒れてしまいます。
考案者がYouTube動画で対策方法について説明されていますが、製造が大変という面からも野菜収穫用コンテナの採用の方が良いかと思います。
課題③:待ち箱として使いにくい理由と対策
アオヤギ式は待ち箱として使うのに適していません。台の下の空間が空きすぎていることが原因と考えられ、これは複数のユーザーが指摘しています。考案者も「待ち箱はダメ、まず入らない」と明言しています。
対策はシンプルです。入居までは普通の底板付き巣箱(または捕獲に適した巣箱)で待ち受け、入居が確認できてからアオヤギ式に交換すること。考案者も「入ってしまった後にこれに変える分は、蜂たちはもう平気」と述べています。交換は、入居後数週間経って蜂たちが落ち着いてからにしましょう。また、交換は蜂たちが落ちつている夜に行うことをお勧めします。
課題④:盗蜜隊に対して弱い
夏の蜜枯れ時期や晩秋の越冬前には蜜を狙った盗蜜隊がやってくる時があります。近くにセイヨウミツバチを飼われている方がいたり、ニホンミツバチのみでも多くの群れを限られた場所で飼育している時に起きやすいです。
アオヤギ式は巣門(メッシュ)の面積が広いため、一度盗蜜隊に狙われると容易に侵入されてしまうというデメリットがあります。特にコンテナを利用して4方向全面が巣門になっている場合には、盗蜜隊の侵入経路が全面ということになってしまいます。
盗蜜隊が現れた際には巣門を狭くする(数センチ幅などにする)ことで盗蜜隊を撃退しやすくするしかありません。ところが上に重い巣箱が乗っていると底板を入れて小さな巣門を作るのは手間がかかります。
自分で作るという選択肢(作り方は別記事で詳しく)
なぜ自作するのか(市販品との違い・コスト・自由度)
アオヤギ式は市販されていません。ハニー工房も「手間が非常にかかり時間を確保できない」として販売の予定はないと明言しています。つまり、使いたければ自作するのが基本になります。
自作のメリットは、コストを抑えられること、自分の飼育スタイルや地域に合わせて自由に設計できること、そして壊れても自分で修理・改造できることです。重箱式巣箱本体も、ホームセンターのカットサービスをうまく使えば、市販品の半額以下で精度よく作れます。
基本構造と必要な材料の概要(要点のみ)
アオヤギ式巣門台に必要な要素を要点だけ挙げると、次のようになります。
- コンテナなどの腐食しにくい素材
- 巣箱が乗る上面
- 底なし構造。ただし、後から底板を差し込める構造
- 6〜7mmの開口部の巣門兼換気口
- 内検・撮影時にスマホを差し込める開口部が開けられること
- 冬期や盗蜜隊登場の際に簡単に底板を差し込める
「私の作り方・寸法・コツは別記事で解説」
実際の寸法、加工の手順、試行錯誤のポイントについては、別記事のDIYガイドで詳しく解説する予定です。重箱式巣箱本体の作り方とあわせて読んでいただくと、全体像がつかめると思いますので、そちらもぜひ参考にしてください。
よくある疑問(Q&A)
Q1. 冬もそのまま使い続けてよい?
群れの状態次第です。強い群れなら底を開けたままでも越冬できたという報告があり、考案者も「群れが大きいときはそのまま、細い(弱い)ときは底板を敷く」という運用を勧めています。ただし寒冷地では底板を入れて対策する方が無難でしょう。地域と群れの強さで判断してください。
Q2. スムシがゼロにならない場合の対処法
スムシがゼロにならないのは、ある意味で正常です。健康な強群であればスムシに食害されることはまずありません。スムシっ子カードも併用しましょう。
Q3. 待ち箱としても使える?
使えません。入居前は普通の巣箱で待ち受け、入居が確認できてからアオヤギ式に交換するのが簡単です。
まとめ:アオヤギ式巣門台を選ぶ前に知っておくこと
アオヤギ式の4つの強み
最後に、アオヤギ式巣門台の強みを4つに整理します。
- スムシの温床(底板)をなくし、被害を軽減できる——巣くずを地面に落とし、湿度も下げることで繁殖サイクルを抑えます。
- 夏の換気で巣箱内を涼しく保ち、巣落ちリスクを減らせる——近年の猛暑対策として理にかなっています。
- 底板掃除がほぼ不要で、安く作れる——特にコンテナ流用なら腐食知らずで、コストもほぼゼロにできます。
- スズメバチ対策となる——スズメバチが巣門のターゲットを絞りこめず諦めるとされています
導入前チェックリスト
導入を検討する前に、次の項目を確認してみてください。
- お住まいの地域は温暖か、それとも寒冷地・高冷地か
- スムシや夏の暑さに実際に悩んでいるか
- 入居後の交換(待ち箱には使わない)を前提にできるか
- 冬の底板差し込み、または改良型の台を用意できるか
- コンテナやトリカルネットといった素材を準備できるか
- 板やコンテナの穴開けなどの器具(ジグソーなど)を持っているか
これらを踏まえて、アオヤギ式が自分の飼育スタイルに合うかを判断していただければと思います。私(けーあい)の工夫した改良アオヤギ式巣門台の構造と作り方は別記事でご紹介する予定です。
参考記事
巣箱製作がまだの方はこちらを御覧下さい。

ニホンミツバチの入居後の初期段階のお世話について知りたい方

ニホンミツバチ飼育全般について以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。

参考:YouTube動画
私がニホンミツバチを飼育している様子をYouTube動画にしていますので、良かったらご訪問いただければと思います。
YouTubeチャンネルはこちらです。
終わりに
ここまで読んでくださりありがとうございました。この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
それでは、楽しい養蜂ライフを!
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