「ニホンミツバチを飼ってみたいけど、巣箱って買うと結構高い……」
「ネットで調べても情報がバラバラで、結局どう作ればいいの?」
そんな声をよく聞きます。わかります、私も最初はそうでした。
この記事では、初心者でも作りやすく、管理もしやすい「重箱式巣箱」の作り方を、木材の選び方から屋根・蓋・スノコ・重箱・巣門・底板・台まで、必要な工具やコツも含めて丸ごと解説します。
DIYのいいところは、買うよりコストを抑えられること、自分の飼育スタイルに合わせて自由に設計できること、そして壊れたら自分で修理・改造できること。ただし、適当に作ってしまうと「段が密着しない」「板の反りで隙間ができる」といったトラブルが起き、ミツバチの誘引や飼育に影響が出てしまいます。
今回は板厚35mmの”高断熱仕様”で、夏は涼しく冬は暖かい「最強のミツバチホーム」を目指します。一般的な巣箱より少し板が厚い分、断熱性・耐久性ともに優れ、近年の猛暑対策にもなります。
記事としては結構細かく書いていきますが、肩の力を抜いて、あまりこだわりすぎず、DIYを楽しむ気持ちで読んでいただければ嬉しいです。
この記事で分かること
この記事を読むと、以下のことが理解できます。
- 重箱式巣箱の屋根・蓋・スノコ・重箱・底板・台まで、すべてのパーツの作り方とコツ
- ホームセンターで「何を・どれだけ」買えばいいか(板の選び方、必要量、カットサービスの活用法)
- 最低限の工具セットと、あると仕上がりが一気に上がる「できれば用意したい工具」
- 重箱式巣箱を製作するときのよくある失敗とその避け方
それでは、さっそく始めていきましょう。
初心者には「重箱式」一択!
ニホンミツバチの巣箱には、大きく分けて「丸洞式」「巣枠式」「重箱式」の3タイプがあります。丸洞式は丸太をくり抜いた伝統的なスタイルで味わいがありますが、採蜜や管理が難しい。巣枠式はセイヨウミツバチでよく使われる方式で、巣の状態を細かく観察できる反面、構造が複雑でDIYのハードルが高めです。
その点、重箱式は初心者にとっていいことずくめです。
まず、採蜜が簡単。巣が上から下に伸びていくので、蜂蜜がたっぷり貯まった上段をワイヤーで切り離して収穫できます。次に、ハチへの負担が少ない。巣枠式のように巣を1枚ずつ引き出す必要がなく、巣をなるべく壊さずに管理できます。
そして何より、構造がシンプルなのでDIY初心者でも製作しやすい。基本的には同じサイズの箱を何段か作って積み重ねるだけですから、工具が少なめでも十分対応できます。
というわけで、これからニホンミツバチを始めるなら、まずは重箱式からスタートすることを強くおすすめします。
重箱式巣箱の基本構造(完成形の全体像)
製作に入る前に、まずは完成形の全体像を押さえておきましょう。各パーツの役割を知っておくと、このあとの工程がスムーズに理解できます。

屋根:雨や直射日光から巣箱を守る、いわば「傘」の役割。これがないと蓋が劣化し、巣箱内部の温度管理にも影響します。
蓋(天井板):重箱の一番上の開口部を塞ぐパーツ。点検時に開閉します。断熱性を考えると、しっかりした厚みのあるものが理想的です。
スノコ:蓋と重箱の間に挟む板。採蜜のときにワイヤーでスノコの下を切り離せるので、蓋に巣がくっつくのを防ぎ、作業がぐんと楽になります。
重箱:巣箱の本体。複数段を重ねて使います。ミツバチは上から下に巣を伸ばしていくので、巣が下に伸びてきたら下に新しい段を追加(継箱)します。
巣門:ミツバチの出入口。開口部の高さを適切に設定することで、オオスズメバチの侵入を防ぐ重要な役割も担います。
底板:巣箱の底。内検(巣箱内部の点検)や掃除のしやすさに直結するパーツです。
台:巣箱を地面から離して設置するための土台。雨の跳ね返りや地面からの湿気を防ぎます。

巣箱構造とサイズの決め方
巣箱を作り始める前に、まず決めておくべきことが3つあります。「内寸」「1段の高さ」「板厚」です。ここを先に決めておくと、必要な木材の量から屋根や蓋のサイズまで、すべて自動的に決まってきます。
寸法の基準は「内寸」で決める
巣箱のサイズを考えるとき、基準にするのは外寸ではなく内寸です。内寸とは、ミツバチが実際に使う空間の広さのこと。内寸を決めれば、そこに板厚を足すだけで外寸が決まり、屋根や蓋、底板のサイズも自然と決まります。
内寸が大きすぎると、夏場の高温で巣が自重に耐えられず落ちてしまう「巣落ち」のリスクが上がります。目安としては、内寸220〜230mm四方がバランスの良い範囲です。
1段の高さ
1段の高さは流派によってさまざまですが、初心者のうちはあまり独自路線に走らず、標準的なサイズに寄せておくのが無難です。他の養蜂家と情報交換するときにも話が通じやすいですし、パーツの交換や増設もスムーズにできます。
目安としては高さ120mm〜150mm程度。今回は150mmで製作します。
板厚の選び方(今回の前提:35mm)
板厚は巣箱の性能を大きく左右します。今回は35mmで解説を進めます。
35mmのメリットはたくさんあります。まず、反りに強い。板が厚い分、経年変化による反りが出にくく、段と段の密着が保たれやすい。断熱性・耐久性も高いので、屋外に常設する巣箱には最適です。さらに、ビスの保持力が高いため、長期間使っても接合部が緩みにくい。おまけに、少しくらいスズメバチに齧られても、板が厚いので簡単には侵入されません。
デメリットとしては、当然ながら少し重くなること。ただ、実際には女性の蜂友さんでも問題なく扱えている程度ですので、過度に心配する必要はありません。
底板方式(固定 or 脱着)
底板の方式は、掃除のしやすさ、換気、スムシ(巣虫)対策、内検の容易さに直結します。
固定式はシンプルで製作が楽ですが、底の掃除がやや面倒。脱着式は製作の手間が少し増えますが、底板を外して掃除・点検・調整ができるので、日々の管理がずっと楽になります。
この記事では後半で、開閉扉式・引き出し式・鉄製台の3パターンを紹介しますので、ご自身のスタイルに合ったものを選んでください。
今回製作する巣箱の特徴(高断熱仕様)
今回の巣箱は、一般的な重箱式より少し板を厚くした「高断熱仕様」です。ミツバチが快適に過ごせるよう、夏は涼しく冬は暖かい環境を目指します。板が厚い分、「直角」「密着」「反り対策」のいずれにも強く、長く安心して使える巣箱に仕上がります。
設計図と寸法(35mm厚バージョン)
今回の標準寸法をまとめておきます。板が厚い分、内寸はやや小さめの220mmとしています。近年の猛暑下では、内寸を大きくしすぎないほうが巣落ちリスクを抑えられるため、この設計は理にかなっていると思います。
| 項目 | 寸法 |
|---|---|
| 内寸 | 220 × 220 mm |
| 板厚 | 35 mm |
| 外寸 | 290 × 290 mm |
| 1段の高さ | 150 mm |
この寸法を基準にして、以下の製作を進めていきます。
準備編:材料と設計のポイント
木材の選び方(杉・荒材・板厚)
樹種は杉が断然おすすめです。入手しやすく、価格も手頃で、加工もしやすい。養蜂用巣箱の定番中の定番です。
表面は、プレーナーで仕上げたツルツルの板でなくても大丈夫。むしろ、荒材のザラザラした表面のほうが、ミツバチが巣を作るときに足がかりになりやすく、好まれる可能性があります。
板厚は最低でも24mmを推奨します。できれば30mm以上、本記事では35mmで解説しています。厚い板は断熱性に優れるので、猛暑の巣落ち防止や越冬時の保温に効果的です。また、雨風にさらされても反りにくく、耐久性もぐっと上がります。
おすすめの木材は杉の足場板。厚さ35mm〜36mm × 幅200〜240mm程度のものが流通しており、巣箱製作にぴったりです。
木材の入手(どこで、何を、どれだけ)
35mm厚の杉板は、ホームセンターの一般的な木材コーナーにはないことが多いです。以下のルートで探してみてください。
大型ホームセンターの資材館が一番手軽です。杉の足場板を扱っていることが多く、カットサービスも利用できるのが大きなメリット。ネット通販でも購入できますが、送料が高めになりがち。
地元に製材所があれば、直接相談してみるのも良い方法です。
購入時のポイントとして、乾燥済みのものを選ぶこと、そして反りの少ない板を選ぶことが重要です。
避けたい木材もあります。未乾燥材は後から反りが出やすい。強い匂いのする板や、薬剤注入材、屋外用防腐処理材はミツバチが嫌う可能性があるので避けましょう。合板も、屋外使用では水分で接着層が剥がれてくるのでおすすめしません。
必要量の見積もり(カットの考え方)
重箱1段あたりに必要な板の数×作りたい段数分を計算します。同じ寸法の部材はまとめてカットすると精度が出やすく、効率的です。
ホームセンターでのカットサービス依頼時の注意点
いくつか押さえておきたいポイントがあります。
まず、片面のみプレーナー処理して36mmから35mmにする場合は、木裏(年輪の内側)を削るのがおすすめです。こうすると、巣箱の外側にくる面が綺麗になり、巣箱内側はザラザラのままになります(木裏を外にして組むため)。
巣箱の高さ150mmについては、上下をカットして正確な150mmにするほうが精度が上がります。カットサービスは1カット30〜60円程度ですので、ここはケチらないことを推奨します(ちなみに私が利用しているところは、1カット30円、プレーナーが一面200円です)。
また、板を自分でカット場所まで運ぶルールのホームセンターもありますので、軍手は必ず持参してください。そして、あらかじめカットの指示図を作っていくとスムーズに依頼できます。
参考のカット図は以下のリンクからPDFをダウンロードできます。ぜひご利用ください。
36mm × 240mm × 2000mm の足場用杉板を前提とした割り付け例
(1)36 mmの足場板をそのまま使う場合

入手できる杉の足場板の板厚が36mmの場合は、横幅を1mm短くすることで、外寸を標準の290×290にできます。7枚の重箱用部材と7枚の部材(お世話枠や巣門枠用)が取れます。
(2)35mm厚(または36 mm→35 mmにプレーナー仕上げ)の場合(35 mm × 240mm × 2000mm)

標準サイズ。7枚の重箱用部材と7枚の部材(お世話枠や巣門枠用)が取れます。
(3)より上下方向の精度を求めて多めにカットする場合(35mm × 240mm × 2000mm)

標準サイズ。7枚の重箱用部材と7枚の部材(蓋用)が取れます。巣箱を重ねた時に密着するように地面に平行になる面はカットサービスでカットして綺麗にするバージョンです。高さ150mmの巣箱用の板と高さ30mmの蓋用の板を取るバージョンです。
→ 35mm用のカット図(カット多め)ダウンロード(PDF)
工具・金物・消耗品
最低限これで作れる
まずは「これだけあれば巣箱は作れる」という最低限のセットです。
- 丸ノコ or 卓上丸ノコ(直線カット用)→ ホームセンターのカットサービスを使う場合は不要
- インパクトドライバーまたは電動ドライバー(ビス打ちの必需品)
- ドリルビット(下穴用、長めのものが便利)
- クランプ(板の固定用、最低2つは欲しい)
- メジャーと鉛筆(基本の計測・マーキング)
- ガスバーナー(杉板の表面を焼く焼き杉加工用)
- サンドペーパー/やすり(仕上げ用)
あると作業効率や仕上がりが一気に上がる
余裕があれば、以下も揃えると格段にクオリティが上がります。
- マキタ マルチツール:木材のカットやヤスリ仕上げに万能。個人的にかなりおすすめ
- コーナークランプ:蓋の組み立てなど、直角を保ちながら固定するのに便利
- 鉋(かんな):段差や隙間の微調整に
- ノミ:巣門枠の切り欠き加工に
- 差し金:直角の確認用
- タッカー:トリカルネットの固定などに
- ノギス:板厚の確認用
- 皿取錐:コーススレッドの頭をきれいに沈めるため
金物・資材
ビスはコーススレッドを使います。ステンレス製を推奨します。
長さの目安は板厚の2倍程度。35mm厚なら75mmがおすすめです。短いと強度不足になります。板がもう少し薄い場合は65mmでもOK。
「反ネジ・フレキ付きなら下穴不要」と書いてある製品もありますが、重箱式巣箱では小口(板の断面)に打ち込むことが多く、屋外で使うため材が割れやすいので、下穴は必ず開けることを推奨します。
巣落ち防止棒には、竹ひご、ステンレス棒、被覆ワイヤ(直径3〜4mm程度)などが使えます。
金網またはトリカルネットは蓋の裏側に取り付けて、蓋の裏に巣が作られるのを防ぎます。タキロンのトリカルネットなら、N-24(10mm×10mm目)は4面巣門の補強用に、N-481(7.5mm×7.5mm目)はミツバチの出入り管理など幅広いシーンで使えます。
屋根材にはポリカ波板や建築用片面防水コンパネ板などが使えます。
工具・金物・資材の入手法
ネット通販がやはり便利です。まとめて購入すれば送料無料になったり、ポイントアップを狙えたりするので、必要なものをリストアップしてから一気に注文するのがおすすめです。
実践編:製作ステップ(Step-by-Step)
Step 1:木材のカット(ホームセンター活用推奨)
カットの精度は巣箱の出来を大きく左右します。数ミリのズレがガタつきの原因になりますので、自信のある方以外はホームセンターのカットサービスの利用を強くおすすめします。特に35mm厚の硬い杉板は、家庭用の丸ノコでまっすぐ切るのはなかなか大変です。
ホームセンターには、先ほどのカット図を印刷して持っていきましょう。2mの足場板から何をどう切り出すか一目で伝わるので、やり取りがスムーズです。
Step 2:重箱(巣箱本体)の組み立て
いよいよ巣箱の心臓部、重箱の組み立てです。
基本の手順
- ホームセンターでカットした4枚の板を用意する
- 接合面に木工用ボンドを塗る
- 2枚ずつクランプでL字に固定する
- はみ出た接着剤を拭き取る
- 皿取りをする
- 下穴を開ける
- コーススレッドで留める
これを2セット作ってロの字に組み合わせれば、重箱1段の完成です。
重要ポイント
年輪の向きに注意してください。年輪の外側(木表)が巣箱の内側方向になるように組み合わせると、板が反ったときに隙間ができにくくなります。
ビスの位置は、板の端から17〜18mmの位置に打ちます。こうすると、下の板の小口(断面)のちょうど中央にビスが入ります。
木工用ボンドは必ず使用しましょう。ビスだけよりもはるかに強固な接合になります。
段を重ねた時に密着するよう、板の面(つら)をよく合わせてからクランプで固定します。ここが甘いと、いくらビスで締めても段の間に隙間ができてしまいます。
下穴は必ず開けてください。割れ防止のためです。35mm板に75mmのコーススレッドを使う場合は、長めのドリルビットがあると便利です。クランプで固定した状態で一気に下穴を開けましょう。
そして、上側の板に開ける下穴を大きめ(いわゆる「ばか穴」)にしたり、皿取りをしたりすると、板と板がより強く引き寄せられて、しっかりと固定されます。
巣落ち防止棒
重箱に穴を開けて、巣落ち防止棒を十字に通します。井桁状に入れる方法もあります。
ただし注意点がひとつ。井桁状の巣落ち防止棒を付けた重箱は、一番上の段には使わないようにしましょう。探索蜂が巣箱の中を見に来たとき、障害物が多いと敬遠してしまう可能性があるためです。
コラム:
下穴の大きさは?
35mm厚の板に4.2×75mmのコーススレッドを使う場合、下穴はビス径の7〜8割が目安です。つまり3.0mmか3.2mm程度のドリルビットで下穴を開けるとよいでしょう。一方、上側の板(ビスの頭側)の下穴は、コーススレッドの直径4.2mm以上の「ばか穴」にします。こうすることで、ビスを締めたときに上の板が引き寄せられ、板同士がぴったり密着します。
皿取りとは?
皿取錐を使って、ビス頭が入る部分をあらかじめすり鉢状に削っておくことを「皿取り」と言います。杉は柔らかいので皿取りなしでもビス頭は沈みますが、皿取りしたほうがより強く接合できます。皿取錐がない場合は、フレキ付きのコーススレッドを使うか、ドライバービットで軽く穴を広げる方法でも代用できます。

Step 3:スノコの作成
スノコは、蓋と重箱の間に挟むパーツです。6〜10mm程度の隙間を設けて作ります。6mm以下にするとミツバチがプロポリスや蜜蝋で埋めてしまうことがあるので、少し広めがおすすめです。
隙間の数に厳密な決まりはありませんが、隙間が少なすぎると巣がくっついている部分が多くなり、採蜜時にワイヤーで切り離すのに苦労します。
スノコの種類
板組み合わせスノコ:薄い板を並べて隙間を空けながら組むタイプ。製造時のネジやステープルはステンレス製にしてください。効率重視ならガンタッカーが便利ですが、その場合もステープルはステンレスを選びましょう(錆び防止のため)。
板に縦穴を開けるタイプ:1枚板にスリット状の穴を開ける方法。すっきりした見た目ですが、板が反りやすく、穴のくり抜き加工がやや難しいという欠点があります。マルチツールを使えばできなくはないですが、組み合わせ型のほうが手軽です。
今回、ホームセンターで7mm×240mm×600mmの杉板を見つけたので、隙間9mmのスノコ用カット図を作成しました。

Step 4:天井板(蓋)の作成
蓋は枠と天板で構成します。杉で作る場合は、天板に24mm〜35mm程度の杉板を使います。12mmのコンパネ板でも構いませんが、2枚重ねにすると断熱性が上がります。
枠はホームセンターで巣箱用の板をカットした際に余りで作れる35 X 30 X 255または35 X 約86 X 255の板を4つ組み合わせて作ります。
スノコと蓋の間のスペースの考え方
スノコの上面と蓋の内側の間にどれくらいのスペースを確保するかは、ちょっとした悩みどころです。
スペースが小さいほうが、ミツバチが無駄巣を作りにくいのでシンプルに管理できます。ただし、アカリンダニ対策のメントールを設置できる程度のスペースは確保しておきたいところ。株式会社週末養蜂さんでは20mm程度を推奨されています。
一方、スペースを大きめに取って、メントール設置だけでなく給餌場所としても活用するという考え方もあります。ご自身の管理スタイルに合わせて決めてください。
スノコが蓋に干渉する場合は、蓋の内側を少し削るか、蓋のみ薄い板で作ると収まります。
蓋裏のネット
蓋の裏側には金属網またはトリカルネット(例:タキロンN-481)を取り付けます。これは蓋の裏に無駄巣が作られるのを防ぐためです。金属網を使う場合は、カットした端で手を切りやすいので、作業時は革手袋の着用をおすすめします。
Step 5:屋根の作成
屋根は太陽光や雨が直接蓋に当たるのを防ぐ役割があります。巣箱本体より大きく作って、雨が箱に直接かからないようにするのがポイントです。
フラットタイプ(ポリカ波板など)
重しを乗せて固定する場合は、平らな形状にする必要があります。ポリカ波板やコンパネ板がおすすめ。ただし、巣箱を高く積み上げた場合、上が重いと不安定になるので、ロープで地面に固定する対策が必要です。
屋根型タイプ
勾配をつけると水はけが良くなります。ただし、屋根型の加工は少し大変なので、大工さんに頼むのも良い選択肢です。
ここでの注意点は、蓋にかぶせる部分を少し大きめに作ること。蓋が290×290mmの場合、屋根の枠の内径は300×300mm程度にします。ギリギリのサイズにすると、テープを巻いたり、板が水分で膨張したりしたときに取り外せなくなってしまいます。
屋根型の場合は重しが乗せられないので、ロープなどで固定しましょう。
Step 6:底板+巣門+台の設計と製造
底板・巣門・台は組み合わせで色々な方法がありますので、代表的な3つのパターンを紹介します。
共通の注意点:巣門の大きさ
巣門の高さは6〜7mmにします。ニホンミツバチは通れるけれど、オオスズメバチは入りにくいサイズです。ミツバチが通れる最小の6mmにする手もありますが、7mmのほうがミツバチがスムーズに出入りできます。スズメバチ対策を重視するなら、巣門は7mmにしつつ金属カバーや鉄製台を併用するのがベストです。
パターン1:開閉扉式
メリット:扉を開けば開口部から内検できる。もっとも製造が簡単でコストも低い。
デメリット:巣クズが自然には外に出ないので時々掃除が必要。底板が取り外せないので、徹底的な掃除がやや面倒。
巣門の作り方:巣箱と同じ部材を使い、35mm×80mm×255mmの板を4枚用意します。3枚はネジで接合し、残りの1枚(扉)はネジ止めせず、ステンレスの蝶番(50mm程度)で取り付けます。扉の下に高さ7mmの切り欠きを入れて、これが巣門になります。
底板:コンパネ板をカットして作ります。台と同じくらいの大きさにカットすると収まりが良いです。台に野菜運搬用プラスチックコンテナを使う場合は、320×480mm程度が目安。
台:野菜運搬用のプラスチックコンテナが便利に使えます。
パターン2:引き出し式
メリット:底板を引き出して取り外せるので、開口部からの内検が可能。取り出した底板は綺麗に掃除しやすい。
デメリット:製造は開閉扉式よりも少しだけ手間がかかる。巣クズは自然には外に出ないので、やはり時折掃除が必要。
巣門の作り方:L型の引き出しにする場合は、縦方向の板に巣門を設けます。板の下を削って作るのが簡単ですが、さまざまな工夫が考えられます。
→引き出し式については nobuharu kusanoチャンネル(YouTube)で参考になる動画が色々と公開されています。
底板:コンパネ板やベニア板をカットして作成します。巣箱の内寸に合わせましょう。底板が薄い場合は、コの字型に枠を付けると強度が出ます。
台:こちらも野菜運搬用プラスチックコンテナが便利です。
パターン3:鉄製台を使う
メリット:4面巣門になるので夏場の風通しが抜群に良く、巣クズの掃除も少なくて済む。底板は引き出して簡単に取り外せるので、下からの内検もしやすい。
デメリット:鉄製台のコストが高め。
巣門枠の作り方:巣箱と同じ材で、高さ40mm程度の巣門枠を作ります。枠の高さは鉄製台から少し上に出るように設計します。こうすると、上の重箱をスライドさせながら乗せることができ、ミツバチを潰さずに継箱ができます。1箇所に高さ7mmの切り欠きを入れて巣門とします。巣門の幅は100〜150mm程度が目安です。
底板:295mm×360mm程度。建築用のコンパネ板をカットして作ります。片面防水タイプのコンパネを使うのもありです。ホームセンターのカットサービスを利用するのが簡単です。
台:鉄製台を自分で製作するのはなかなか大変なので、購入するのが現実的です。株式会社週末養蜂さんの鉄製台がおすすめ。コストを抑えたい場合は、フリマサイトで探してみるのも手です。
鉄製台の下にはコンクリートブロックを2つ並べます。ホームセンターで売っているのは軽量コンクリートのブロックが多いですが、重量コンクリートのブロックのほうが安定感があっておすすめです。
鉄製台の構造にもよりますが、スズメバチが底板を齧る可能性がある箇所には、トリカルネットをガチャック(大)で取り付けておくと安心です。
Step 7:台の設置(水平・地面から離す・安定性)
台の高さは地面から300〜500mm程度が目安。湿気を避け、草が巣門を塞がず、作業時に腰を痛めない高さを選びましょう。
鉄製台の場合は、コンクリートブロックの上に設置することで、ブロック自体が重しになります。秋の台風シーズンに備えて、ロープやバンドで巣箱全体を固定しておくと安心です。
プラスチックコンテナの場合は、転倒対策が重要です。キャンプ用のテントペグを使って地面に固定する方法が手軽で効果的です。重箱を重ねた後は重心が高くなるので、秋の台風対策もお忘れなく。
どちらの場合も、巣箱の設置面が水平になっているかは必ず確認しましょう。傾いていると巣がまっすぐに伸びず、管理に支障が出ることがあります。
Step 8:仕上げ編(耐久性と誘引率アップ)
巣箱が組み上がったら、最後の仕上げです。ここを丁寧にやると、巣箱の寿命とミツバチの入居率が大きく変わります。
① バーナーで焼く(焼き杉加工)
ガスバーナーで巣箱の外側のみを焼きます。表面を炭化させることで、防腐効果と耐久性がアップ。塗料を使わないので、ミツバチにも安全な方法です。
焼いた直後は焦げた匂いが残るので、野ざらしで数週間以上置いて匂いを飛ばしましょう。
② 蜜蝋(ミツロウ)を塗る
蜜蝋を巣箱の内側、特にスノコに塗ります。これはミツバチへの誘引効果を狙ったもの。ただし、重箱内部にはあえて塗らなくても大丈夫です。塗りすぎると逆効果になることもあるので、薄く塗る程度に留めましょう。
③ 設置前の最終チェック
ガタつきがないか:段を重ねたときに不安定なところがあれば、鉋やサンドペーパーで微調整します。
光が漏れる隙間がないか:光が漏れるということは、虫も入れるし、ミツバチにとっても落ち着かない環境になります。隙間があれば黒の耐候テープなどで塞ぎましょう。
新しい板は屋外に1ヶ月以上置く:足場板に限らず、新しい木材は匂いが残っていることがあります。風雨にさらして十分に匂いを飛ばしてから使いましょう。
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。かなりのボリュームになりましたが、いかがだったでしょうか。
最初は「こんなに考えることがあるの?」と思われたかもしれませんが、実際に手を動かしてみると意外とサクサク進むものです。完璧を目指す必要はありません。多少の凸凹があっても、テープで隙間を塞げばミツバチは気にせず住んでくれます。
何より大切なのは、楽しんで作ること。自分で作った巣箱にミツバチが入居してくれたときの感動は、買った巣箱では味わえない格別なものがあります。
ぜひ、この記事を参考にして、あなただけの「最強のミツバチホーム」を作ってみてください。質問やご感想があれば、コメント欄でお気軽にどうぞ。
それでは、楽しい養蜂ライフを!

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