【分蜂誘引の必需品】キンリョウヘンの育て方と開花調整のコツ|ニホンミツバチ養蜂

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春、桜の開花とともに、ニホンミツバチの養蜂家にとって最も熱い季節「分蜂(ぶんぽう)」がやってきます。

新しい群れを捕獲するために待ち箱(巣箱)を設置して待つのも楽しみの一つですが、「なかなか探索蜂が来ない……」とヤキモキすることもありますよね。

そんな時の最強のパートナーが、「キンリョウヘン(金稜辺)」という蘭です。

キンリョウヘンは、ニホンミツバチを強烈に引き寄せる女王蜂フェロモンに似た物質を花からを出す不思議な植物。これがあるのとないのとでは、捕獲率が劇的に変わると言っても過言ではありません。

しかし、ただ持っているだけでは効果を発揮しません。最も重要なのは、「分蜂のタイミングに合わせて花を咲かせること」です。

この記事では、初心者の方に向けて、キンリョウヘンの入手方法から、開花時期をコントロールする調整テクニック、そして当日の使い方の裏技までを徹底解説します。

目次

なぜキンリョウヘンがニホンミツバチを呼ぶのか?

キンリョウヘン(学名:Cymbidium floribundum)の花は、ニホンミツバチの女王蜂フェロモンに似た成分を放出します。

これによって、新しい巣の場所を探している「探索蜂(偵察部隊)」が、「ここが良い場所だ!」と勘違いして強烈に引き寄せられるのです。

「ミスマフェット」などの交配種でもOK?

キンリョウヘンの原種以外にも、「ミスマフェット」や「アクシデンタル」といった交配種も同様の誘引効果を持っています。

  • キンリョウヘン(原種): 開花調整が必要だが、実績はNo.1。
  • ミスマフェット(交配種): 暑さに強く育てやすいが、開花時期がやや遅め。

どちらを選んでも効果はありますが、春の早い時期(第1分蜂)を狙うなら、開花調整がしやすいキンリョウヘンを数鉢持っておくのがおすすめです。

キンリョウヘンの入手方法と時期

キンリョウヘンは一般的なお花屋さんやホームセンターではまず見かけません。以下の方法で入手するのが確実です。

1. 入手のベストタイミングは「1月〜2月」

春の分蜂に間に合わせるためには、「花芽(はなめ)」が付いている株を冬の間に購入する必要があります。

  • 1月〜2月: 花芽付きの株が出回る時期。この時期に買えば、あとは咲かせるだけです。
  • 3月以降: すでに開花してしまっている株も多く、開花調整が難しくなります。

2. おすすめの購入場所

  • ネットオークション(ヤフオクなど): 信頼できる出品者から購入することが重要です。たまにニホンミツバチの誘引効果の無い蘭がキンリョウヘンとして売られている事があるようです。評価などを見て確認しましょう。
  • 園芸専門店の通販: 「ニホンミツバチ用」として販売されていることが多いです。

購入時の注意点 必ず「花芽付き」と明記されているものを選びましょう。葉っぱだけの株を買っても、その春には咲きません。また、葉にモザイク状の斑点があるものはウイルス病の可能性があるため避けましょう。

(PR) 楽天市場でのキンリョウヘンの入手法

楽天市場だと以下のお店でキンリョウヘンやその他のニホンミツバチ誘引効果のある蘭を扱っています。ヤフオクの方がお値段は安めですが、信頼を飼うという点では楽天市場のショップで購入するのが安心かと思います。

レイテストプランツさんは「多肉植物と蘭のお店」となっていて、お目当ての品種を入手できることがあります。私は昨年キンリョウヘンとミスマフェットをかけ合わせて作出された「シンビジウム アクシデンタル」をこちらのお店で入手することができました。おすすめです。

【最重要】分蜂時期にドンピシャ!開花調整のテクニック

キンリョウヘンは自然任せにしていると、4月下旬〜5月に咲くことが多いです。 しかし、関東(神奈川など)の分蜂シーズンは、早ければ3月下旬、ピークは4月中旬頃です。

つまり、「自然開花より少し早く咲かせる」必要があります。ここで温度管理がカギとなります。

手順1:地域の分蜂時期を予想する

分蜂は、その土地の「ソメイヨシノ(桜)」の満開から、約1週間〜2週間後に始まると言われています。お住まいの地域の桜開花予想をチェックしましょう。

手順2:開花を早める(2月中旬〜)

桜の開花に合わせるため、つぼみが膨らんできたら、室内に取り込みます。ただし、あまり暖房の効きすぎているリビングなどは避けます。

  • 置き場所: 日当たりの良い窓辺(レースのカーテン越し)。
  • 温度: 20度前後あると成長が早まります。

手順3:開花を遅らせる(調整期)

逆に「早く咲きすぎてしまいそう!」という場合は、涼しい場所へ移動させます。

  • 置き場所: 暖房のない玄関、北側の部屋、屋外の軒下など。
  • 注意: 5度以下になるような寒すぎる場所や、霜が降りる場所はNGです。

手順4:リレー形式で咲かせる

複数鉢持っている場合は、「1つは室内で早めに」「もう1つは玄関で遅めに」と場所を分けることで、開花時期をズラすことができます。これで誘引期間を長くキープできます。

分蜂狙いの際の使い方と「ネット」の裏技

いよいよ開花し、待ち箱にセットする時のテクニックです。 ここで必須となるのが、「野菜収穫ネット」です。

なぜネットを被せるの?

ニホンミツバチがキンリョウヘンの花に潜り込み、花が受粉してしまうと、花は役割を終えたと判断し、すぐにフェロモンの放出を止めて萎れてしまいます。

開花期間を持続させ、より多くの探索蜂を呼ぶために、物理的に受粉させないようにネットを被せるのが鉄則です。

Q. ネットを被せたら、匂いがしなくなって蜂が来ないのでは?

A. 大丈夫です! フェロモンは気体としてネットの網目を通り抜けます。蜂は花そのものではなく、漂ってくる匂いに引き寄せられるので、ネット越しでも問題なく探索蜂が群がりますよ。

おすすめのネット、被せ方、設置方法

  • 使うもの: 野菜収穫用のネット(オレンジやグリーン)。100円ショップの大きめの洗濯ネットを使うこともできますが、穴が大きいと蜜蜂がすり抜けて入ってしまいますので要注意です。
  • 被せ方: 花茎全体をすっぽりと覆い、下を緩く縛ります。
  • 設置場所: キンリョウヘンは待ち箱の屋根の上、または待ち箱のすぐ隣に置きます。

来年も咲かせるために!栽培カレンダー

無事に分蜂が終わった後も、キンリョウヘンの管理は続きます。来年も良い花を咲かせるためのポイントは「芽かき」と「寒さ」です。

時期管理のポイント
春(5月〜6月)花が終わったら花茎を元から切ります。
肥料を与えます。
大きくなった株は株分けすると良いでしょう。
夏(7月〜9月)成長期です。真夏は葉焼けを避けるため、風通しの良い半日陰に置きます。寒冷紗を使うのも良いでしょう。水と肥料をたっぷりと与えます。
秋(10月〜11月)肥料を止めます。水やりは少し控えめに。
冬(12月〜1月)【重要】 花芽を作るためには、一定期間の寒さ(5度〜10度程度)に当てる必要があります。過保護にして最初から暖かい部屋に入れると花芽が付きません。1月頃に花芽を確認してから、開花調整に入ります。

まとめ:キンリョウヘンを活用して分蜂群をゲットしよう

キンリョウヘンは、ニホンミツバチ養蜂における「生きているルアー」です。

  1. 花芽付きの株を冬に入手する。
  2. 桜の開花に合わせて、温度管理で開花時期を調整する。
  3. 開花したら必ずネットを被せて、花持ちを良くする。

この3つのポイントを押さえれば、捕獲確率はグッと上がります。 今年はぜひキンリョウヘンを活用して、春の分蜂シーズンを楽しんでください!

キンリョウヘンは上手に育てれば毎年使用できますので、お得ですよ。

(PR) もしキンリョウヘンの開花調整に失敗したら

キンリョウヘンで開花時期の調整に失敗したときは、市販の待ち箱ルーアーを購入するのがベストです。開封後も40日ほど有効ですので、開花時期の調整を気にしないで良いのが楽です。週末養蜂さんで、現在は待ち箱とのセットでのみ販売されていて、ルアー自体は2月中旬になるとのことです。

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この記事を書いた人

自然に囲まれた場所で、果樹を育てたり日本蜜蜂を飼ったりしながら暮らしています。
田舎の暮らしも不便さばかりではなく、便利な道具や家電を取り入れることで、快適さと楽しさの両立を目指しています。
このブログでは、養蜂や果樹栽培といった趣味の実体験に加えて、暮らしをちょっと便利にしてくれる道具の紹介や、将来に備えた気軽なマネーの工夫についても発信しています。
田舎でも都会でも、暮らしを「ちょっと楽しく、ちょっと賢く」するヒントをお届けできれば嬉しいです。

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