キンリョウヘンの育て方と開花調整のコツ|ニホンミツバチ養蜂

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春、桜の開花とともに、ニホンミツバチの養蜂家にとって最も熱い季節「分蜂(ぶんぽう)」がやってきます。

新しい群れを捕獲するために待ち箱(巣箱)を設置して待つのも楽しみの一つですが、「なかなか探索蜂が来ない……」とヤキモキすることもありますよね。

そんな時の最強のパートナーが、「キンリョウヘン(金稜辺)」という蘭(ラン)の一種です。

キンリョウヘンは、ニホンミツバチを強烈に引き寄せる集合フェロモンに似た物質を花から出す不思議な植物。これが有るのと無いのとでは、捕獲率が劇的に変わると言っても過言ではありません。

しかし、ただ持っているだけでは効果を発揮できないことがあります。最も重要なのは「分蜂のタイミングに合わせて花を咲かせること」です。

この記事では、初心者の方に向けて、キンリョウヘンの入手方法から、開花時期をコントロールする調整テクニック、そして当日の使い方の裏技までを徹底解説します。

目次

なぜキンリョウヘンがニホンミツバチを呼ぶのか?

キンリョウヘン(学名:Cymbidium floribundum)の花は、ニホンミツバチの集合フェロモンに似た成分を放出します。以下の2つの物質の混合物が効果を発揮し、単独では効果がないとのことです。

  • 3-ヒドロキシオクタン酸(3-HOAA, 3-hydroxyoctanoic acid)
  • 10-ヒドロキシ-(E)-2-デセン酸(10-HDA, 10-hydroxy-(E)-2-decenoic acid)

 参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23387843/

これによって、新しい巣の場所を探している「探索蜂(偵察部隊)」が強烈に引き寄せられやってきて、待ち箱の場所を群れに伝えるのです。

「キンリョウヘン」以外に使える蘭はある?

キンリョウヘン以外にも、同様の誘引効果を持っている蘭の品種があります。いずれもシンビジウム属(Cymbidium)の仲間です。

シンビジウムというと、園芸店で見かける華やかな「洋蘭」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、シンビジウム属の中には洋蘭として扱われるものと、古くから日本で栽培されてきた「東洋蘭」として扱われるものの両方が含まれています。キンリョウヘンは後者にあたり、江戸時代にはすでに日本で栽培されていた中国原産の古典園芸植物です。

  • キンリョウヘン: 開花を少し早める開花調整が必要だが、実績はNo.1の最も定番の「ミツバチ蘭」です。シンビジウム属の原種Cymbidium floribundum)で、中国南部〜台湾に自生しています。いくつかの園芸品種があるようです。通常は赤花ですが、白花の品種もあり、私が持っている白花のキンリョウヘンは赤花よりも誘引効果が強いように思います。
  • ミスマフェット: キンリョウヘン × 原種デボニアナムの交配種として流通しており、こちらも誘引蘭として有名です。東洋蘭であるキンリョウヘンを片親に持つ交配品種(ハイブリッド)で、「洋蘭」と「東洋蘭」の両方の血を引く存在とも言えます。キンリョウヘンより葉の幅が広いので見分けがつきます。キンリョウヘンより誘引が強いという意見もあります。寒さには弱いので霜に当てないようにする必要があります。
  • フォーゴットンフルーツ: こちらも誘引蘭として名前が挙がりますが、入手は少し難しいかと思います。花が綺麗で観賞用としても良いと思いますが、育てるのも少し難しめとのことです。
  • アクシデンタル: キンリョウヘン × ミスマフェットの交配種として紹介・流通しているタイプです。強力な誘引力があると言われています。私は九州蜜蜂工房さんのYouTubeビデオで知りました。今は入手困難かもしれません。

どれを選んでも効果はありますが、まずは入手しやすいキンリョウヘンを数鉢持っておくのがおすすめです。

キンリョウヘンの入手方法と時期

キンリョウヘンは一般的なお花屋さんやホームセンターではまず見かけません。以下の方法で入手するのが確実です。

1. 入手のベストタイミングは「1月〜2月」

春の分蜂に間に合わせるためには、「花芽(はなめ)」が付いている株を冬の間に購入する必要があります。

  • 1月〜2月: 花芽付きの株が出回る時期。この時期に買えば、あとは開花調整をして、分蜂時期に合わせて咲かせるだけです。
  • 3月〜4月: すでに開花が始まりそうな株も多いですので、開花調整が難しくなります。その年の誘引に使用するためには、花茎の状況をショップに確認して、開花のタイミングが分蜂に合いそうな株を購入する必要があります。また、お値段が高いものしか残っていない場合もあります。
  • その他の季節:春の分蜂時に花が咲くように上手に育てて行く場合は、その他の季節のほうが安めに入手できるかと思います。

2. おすすめの購入場所

  • ネットオークション(ヤフオクなど): 信頼できる出品者から購入することが重要です。たまにニホンミツバチの誘引効果の無い蘭がキンリョウヘンとして売られている事があるようです。評価などを見て確認しましょう。
  • 九州みつばち工房さんが毎年キンリョウヘンを販売されています。ホームページを確認したら販売は2月からとのことです。実際にニホンミツバチの誘引に使われているキンリョウヘンを増やしているので安心ですね。
  • 園芸専門店の通販: 「ニホンミツバチ誘引用」として販売されていることが多いです。

購入時の注意点 必ず「花芽付き」と明記されているものを選びましょう。葉っぱだけの株を買っても、そのシーズンには咲かないことが多いと思います。

(PR) 楽天市場でのキンリョウヘンの入手法

楽天市場だと以下のお店などでキンリョウヘンやその他のニホンミツバチ誘引効果のある蘭を扱っています。ヤフオクの方がお値段は安めですが、信頼を買うという点では楽天市場のショップで購入するのが安心かと思います。

花芽付きのキンリョウヘンは各ショップともあまり多くは出品されていないようですので、見つけたら売り切れる前に入手しておくことをお勧めします。

以下のショップ名かバナーをクリックすると楽天市場の各ショップに飛びますので、「キンリョウヘン」で検索して、花芽付きの良いものが見つかったらまずはカートに入れておくと良いと思います(結構高額なので購入するかはじっくり検討した方がよいかと)。

レイテストプランツ

レイテストプランツさんは「多肉植物と蘭のお店」となっていて、お目当ての品種を入手できることがあります。私は昨年キンリョウヘンとミスマフェットをかけ合わせて作出された「シンビジウム アクシデンタル」をこちらのお店で入手することができましたので、ラッキーでした。アクシデンタルは小さな苗でしたので現在育成中です。

母の日 花 ガーデニング岐阜緑園

岐阜緑園さんから花芽が5つ以上ついた大株を2年前に購入しました。とても立派な株で誘引に役立っています。

やましち山野草店

やましち山野草店さんからも過去に2回ほど花芽が4つ以上ついた株を購入しました。こちらもいい感じで使用できています。

千草園芸

千草園芸さんからはキンリョウヘンは買ったことが無いのですが、私がいつも贔屓にしている「ガーデンストーリー」さんでは扱っていない、ちょっと珍しい木々や草花を購入させていただいており、とても助かっています。キンリョウヘンも取り扱いがあるようですので、チェックしてみてください。

【最重要】分蜂時期にドンピシャ!開花調整のテクニック

キンリョウヘンは自然任せにしていると、ニホンミツバチの分蜂開始より遅れて咲いてしまいます。

つまり、「自然開花より少し早く咲かせる」必要があります。ここで温度管理がカギとなります。

手順1:地域の分蜂時期を予想する

ニホンミツバチの分蜂は、その土地の「ソメイヨシノ(桜)」の満開の頃や満開から少し遅れて約1週間〜2週間後に始まると言われています。お住まいの地域の桜開花予想をチェックしましょう。また、週末養蜂さんの「分蜂マップ」アプリでチェックするのも良いでしょう。

手順2:開花を早める(目標開花日の40日〜50日前)

分蜂時期に合わせるため、キンリョウヘンのつぼみが膨らんできたら、室内に取り込みます。ただし、暖房の効きすぎているリビングなどは避けます。

予想した分蜂時期に開花させるには、予想日の40日から50日前に取り込むと良いでしょう(例:目標4/1開花→2/10〜2/20取り込み)。

  • 置き場所: 玄関、縁側、暖房していない部屋、サンルーム、など。
  • 温度: 室内に置きますが、15度を超えないようにします。暖房の効いた部屋に入れると花が成長しなかったり、開花が早くなり過ぎたりします。

手順3:開花を遅らせる(調整)

逆に「早く咲きすぎてしまいそう!」という場合は、涼しい場所へ移動させます。

  • 置き場所: 屋外の軒下など。
  • 注意: 霜が降りる場所はNGです。

手順4:リレー式で咲かせる

複数鉢持っている場合は、「1つは室内で早めに」「もう1つは少し遅めに室内に」と室内に取り込む時期を変えることで、開花時期をズラすことができます。これで誘引期間を長くキープできます。

分蜂狙いの際の使い方と「ネット」の裏技

いよいよ開花し、待ち箱にセットする時のテクニックです。 ここで必須となるのが、「ネット」です。

なぜネットを被せるの?

ニホンミツバチがキンリョウヘンの花に潜り込み、花が受粉してしまうと、花は役割を終えたと判断し、すぐにフェロモンの放出を止めて萎れてしまいます。

開花期間を持続させ、より多くの探索蜂を呼ぶために、物理的に受粉させないようにネットを被せるのが鉄則です。

ネットを被せたら、匂いがしなくなって蜂が来ないのでは?

大丈夫です! フェロモンは気体としてネットの網目を通り抜けます。蜂は花そのものではなく、漂ってくる匂いに引き寄せられるので、ネット越しでも問題なく探索蜂が群がりますよ。

おすすめのネット、被せ方、設置方法

  • 使うもの: 100円ショップの洗濯ネットが安くて色々なサイズがあって便利です。なお、毛布用の穴が大きい洗濯ネットは蜜蜂がすり抜けて入ってしまいますので避けましょう。野菜収穫用のネットも使用できます。
  • 被せ方: ネットを使用してキンリョウヘンの鉢ごと全体を覆うのが簡単です。花茎のみを覆うことも考えられますが、ちょっと作業が面倒です。切り花にするときも、小さめの洗濯ネットで覆うと良いと思います。
  • 設置場所: キンリョウヘンは待ち箱の近くに置きます。できるだけ巣門の近くが良いかと思います。

(PR)この野菜収穫用のネットの10枚セットなら1枚あたり200円以下で購入できます。また、ニホンミツバチの強制捕獲の際にも利用できて便利です。

来年も咲かせるために!栽培カレンダー

無事に分蜂が終わった後も、キンリョウヘンの管理は続きます。来年も良い花を咲かせるためのポイントは、「適切な施肥」、「夏の葉焼け防止」、「寒さに当てる」です。

時期管理のポイント
春(5月〜6月)花が終わったら花茎を元から切ります。
緩効性の固形肥料を与えます。大きくなった株は株分けすると良いでしょう。
屋外の場合は水やりは不要ですが、晴れが続くようなら水やりします。
夏(7月〜9月)成長期です。真夏は葉焼けを避けるため、風通しの良い半日陰に置きます。寒冷紗を使うのも良いでしょう。
水をたっぷりと与えます(できれば毎日)。
秋(10月〜11月)肥料は与えすぎないようにします。もし与える場合は液肥が良いでしょう。
屋外の場合は水やりは不要ですが、晴れが続くようなら水やりします。
冬(12月〜1月)【重要】 花芽を作るためには、一定期間の寒さ(10度程度以下)に当てる必要があります。初霜が降りる頃までは屋外で育てます。過保護にして最初から室内に入れると花芽が付きません。1月から2月に開花調整に入ります。
肥料は与えません。水やりも2週間に1度程度で十分です。

水やりの様子です。西日が当たって虹ができて綺麗でした。

秋のキンリョウヘンへの水やり。西日で虹ができている。
秋のキンリョウヘンへの水やり

育て方の基本

キンリョウヘンはシンビジウムの仲間、つまり「蘭(ラン)」です。もともと樹木に着生して育つ半着生ランで、雨がさっとかかってすぐに乾くような環境を好みます。一般的な草花とは鉢や土の選び方が異なりますので、初めて育てる方は以下のポイントを押さえておきましょう。

鉢は「縦長タイプ」を使う

シンビジウムの仲間は太い根が長く伸びるため、一般的な浅めの鉢ではなく、蘭用の縦長の鉢(ラン鉢)を使うのが基本です。縦長の鉢は水はけと通気性に優れており、蘭の大敵である根腐れの防止につながります。素焼き鉢は通気性が良い定番です。また、スリット鉢(側面にスリットが入ったプラスチック鉢)を使用することもできます。

用土は「蘭用のもの」を使う

普通の観葉植物用や花用の培養土は水持ちが良すぎて根腐れの原因になります。

ホームセンターなどで手に入るシンビジウム・洋蘭用・東洋蘭用の土を使うのが簡単です。バークチップ、ココナッツチップ、軽石、日向土(ボラ土)、ゼオライトなどから数種が配合されたものが一般的で、商品によっては肥料が配合されていたり、pHが調整されています。

(PR) 私はプロトリーフさんから発売されている以下の製品を使っています。栄養素入りなので便利です。

鉢増し(植え替え)や株分け時の注意点

小さな鉢で育てていて、株が大きくなって根がパンパンに詰まってきたら鉢増し(植え替え)しましょう。1号大きい鉢に植え替えます。

また、株がさらに大きくなって来て、6号鉢でも根が詰まってきたら株分けして増やしましょう!株を鉢から抜いて、半分に分けて新しい鉢に植えます。なお、株分けをする場合は、1株あたり3バルブ(球根状のふくらみ)以上を残すようにします。

鉢増しや株分けの際の注意点ですが、一気に大きな鉢に植え替えるのはNGです。鉢が大きすぎると、根が吸いきれない水分が鉢の中に溜まり根腐れを起こしやすくなるだけでなく、花芽が付きにくくなることもあります。鉢増し時には元の鉢より1号大きい鉢にとどめましょう。植え替えの時期は花が終わった後の春が適しています。

一気に大きな鉢に植え替えてしまった失敗を紹介します。以下の写真は同時に購入したアクシデンタルなのですが、右側は株がまだ小さいうちに大きな鉢に植え替えしたため不調です。今後小さな鉢に植え直す予定です。

キンリョウヘン交配種アクシデンタルの鉢サイズ比較。左は適切なサイズの鉢、右は大きすぎる鉢に植えた例
左:適切なサイズの鉢で順調に生育中 右:大きすぎる鉢に植え替えてしまい不調

(PR) もしキンリョウヘンの開花調整に失敗したら

キンリョウヘンで開花時期の調整に失敗したときは、市販の待ち箱ルアーを購入するのがベストです。開封したら45日以上有効ですので、開花時期の調整を気にしないで良いのが楽です。

週末養蜂さんで、待ち箱、教材、蜜蝋、待ち箱ルアーが含まれる週末養蜂スタートキットが販売されています。

また、待ち箱ルアー単品はこちらから購入できます。

週末養蜂さんから待ち箱ルアーの予約が始まっています。2026年は2月12日から発送予定とのことです。セット買いだと以下のように安くなるようです。5個セットはこちら(1つあたり200円安い)、10個セットはこちら(1つあたり400円安い)、15個セットはこちら(1つあたり500円安い)、20個セットはこちら(1つあたり550円安い)。まとめ買いして蜂友さんでシェアするのもよいですね。

複数の待ち箱ルアーのセット販売だと送料が無料になるのもよいですね。

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キンリョウヘン vs 待ち箱ルアー:どちらを選ぶ?

キンリョウヘンの魅力をお伝えしてきましたが、「待ち箱ルアーでいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。実際、どちらにもメリット・デメリットがありますので、ここで比較してみましょう。

比較ポイント

① 単年の価格

待ち箱ルアーは1個3,900円(税込)で、待ち箱1台につき1個必要です。2〜3台に設置するなら年間約8,000〜12,000円がかかります。

キンリョウヘンは花芽付きの株が1鉢5,000〜15,000円程度。初年度の投資は大きめですが、翌年以降は肥料・用土代(年間1,000〜2,000円程度)だけで済みます。

② 誘引期間

待ち箱ルアーは開封から45日以上効果が持続します。分蜂シーズンをほぼ1個でカバーでき、タイミングを気にせず使える安心感があります。

キンリョウヘンの花は2〜3週間程度で萎れていきます。ネットを被せて受粉を防いでも、ルアーほどの長期間は持ちません。ただし、複数鉢をリレー式で咲かせることで誘引期間を延ばすことが可能です。

③ 栽培環境・スキル

待ち箱ルアーは栽培不要。通販で購入して巣箱に取り付けるだけです。

キンリョウヘンは蘭の栽培経験または学ぶ意欲が必要です。特に夏場の遮光(半日陰・寒冷紗)と水やりが重要で、マンションのベランダなど直射日光の強い場所しかない方には管理が難しい場合があります。また、冬に花芽を作るための低温期間も必要なため、暖かすぎる室内にしか置けない場合は花芽が付きません。

④ 開花調整の難しさ

キンリョウヘンの最大のハードルは「分蜂のタイミングに合わせて咲かせる」開花調整です。暖房の効いていない玄関やサンルームなど、15度以下に保てる室内スペースが必要になります。これが用意できない環境だと、開花調整は困難です。待ち箱ルアーにはこの心配がありません。

⑤ 5年間のトータルコスト(待ち箱3台分の場合)

長く養蜂を続けるなら、コストの差は大きくなります。ここでは待ち箱3台に誘引するケースを想定して、キンリョウヘンと待ち箱ルアーの5年間のトータルコストを試算してみます。キンリョウヘンは花芽付き2鉢を購入し、2年目以降に株分けで3鉢に増やしていく前提です。

■ 製品コストのみの比較

待ち箱ルアーキンリョウヘン
初年度ルアー3個:11,700円花芽付き2鉢:約15,000円
+肥料・用土:約2,000円
計:約17,000円
2年目〜5年目11,700円 × 4年 = 46,800円肥料・用土:約2,000円 × 4年 = 8,000円
5年合計約58,500円約25,000円

製品コストだけで見ると、キンリョウヘンが圧倒的に有利です。株分けで鉢数を増やしていけるため、2年目以降は肥料と用土の実費だけで済み、5年間でルアーの半分以下のコストに収まります。

「よし。キンリョウヘンにしよう!」と思ったそこのあなた。まだ飛びつくには早いです。(笑)

この比較には見落としがちな大きな要素があります。それは「自分の作業時間」です。

待ち箱ルアーはネットで注文して届いたものを巣箱に取り付けるだけ。年間の作業時間は注文・受取を含めても30分程度です。

一方、キンリョウヘンの栽培にはそれなりの手間がかかります。特に夏場は水やりが欠かせませんし、冬から春にかけての開花調整では置き場所の移動や温度チェックが必要です。さらに施肥、植え替え、株分け、ネット被せ、状態確認なども含めると、2〜3鉢の管理で年間少なくとも12時間ほどの作業時間は必要になるでしょう。

そこで、自分の作業時間を仮に時給2,000円として金額に換算し、製品コストと合算して比較してみましょう。

■ 作業コストを含めた比較

待ち箱ルアーキンリョウヘン
年間作業時間約0.5時間(注文のみ)約12時間(水やり・開花調整・施肥等)
5年間の作業時間約2.5時間約60時間
作業コスト(時給2,000円換算)5,000円120,000円
製品コスト+作業コスト約63,500円約145,000円

作業コストまで含めると、結果は逆転してルアーの方が大幅に安くなります。キンリョウヘンの製品コスト上の優位性は、栽培にかかる手間を金額換算すると完全に吹き飛んでしまうのです。

ただし、これはあくまで作業時間を「コスト」として計算した場合の話です。実際にはキンリョウヘンの世話を苦に感じるかどうかは、その人のライフスタイルや趣味嗜好によって大きく異なります。蘭の栽培そのものが楽しみであれば、水やりや開花調整は「コスト」ではなく「趣味の時間」です。毎朝の水やりがルーティンになっている方にとっては、むしろ癒しの時間かもしれません。

逆に、仕事が忙しくて植物の世話に時間を割けない方や、旅行・出張で家を空けることが多い方にとっては、注文するだけで済むルアーの手軽さは非常に大きなメリットになります。特に夏場の水やりは2〜3日空けるだけでダメージを受けることがありますので、長期不在が多い方はルアーを主力にした方が安心でしょう。

あなたにはどちらが向いている?

以下のチェックポイントで判断してみてください。

待ち箱ルアーが向いている人
・今年すぐに分蜂を捕獲したい初心者の方
・植物の栽培が苦手、または栽培する時間や場所がない方
・暖房の無い涼しい室内スペースが確保できない方
・多数の待ち箱に直ぐに設置したい方(キンリョウヘンの鉢数が足りない場合)

キンリョウヘンが向いている人
・植物を育てるのが好きで、蘭の栽培にも興味がある方
・夏場に半日陰を確保でき、水やりが苦にならない方
・冬に暖房の無い屋内スペース(玄関、サンルームなど)がある方
・長期的にコストを抑えたい方
・「生きたルアー」の花を楽しみたい方

併用する場合は「同時」より「リレー」がおすすめ

両方を持っている方は併用するのが最強ですが、ここで一つ注意点があります。キンリョウヘンと待ち箱ルアーを同じ巣箱に同時に使っても、誘引力が倍になるわけではありません。どちらもニホンミツバチの集合フェロモンに似た成分で探索蜂を呼ぶ仕組みなので、同じ原理のものを2つ並べても効果は重複するだけです。

そこでおすすめなのが、分蜂シーズンを通して「リレー式」に使い分ける方法です。

  1. 分蜂シーズン開始〜キンリョウヘン開花前 — 待ち箱ルアーを巣箱に設置して、シーズン初期の分蜂に備えます。
  2. キンリョウヘンが開花したら — ルアーを外し、キンリョウヘンに切り替えます。外したルアーはジップロックなどで密封して冷蔵庫に保管しましょう。こうすることで誘引成分の揮発を抑え、効果をある程度キープできます。
  3. キンリョウヘンの花が終わったら — 冷蔵庫からルアーを取り出して再設置し、シーズン後半の分蜂をカバーします。

キンリョウヘンの花は2〜3週間で萎れていきますが、待ち箱ルアーは開封から約45日間効果が持続します。この持続期間の差を活かして、シーズン全体を途切れなくカバーするのがリレー式のメリットです。

キンリョウヘンの開花時期を分蜂にぴったり合わせるのは経験を積んでも難しいですし、分蜂の開始時期も年によって変動します。ルアーをバックアップ兼リレーの相棒として手元に用意しておくと、ずっと安心感が増します。私も併用しています。

初年度はルアーで確実に分蜂を狙いつつ、できれば並行してキンリョウヘンを育て始めるのが、最も失敗の少ないスタートだと思います。

Q&A

キンリョウヘンはなぜニホンミツバチを引き寄せるのですか?

キンリョウヘン(Cymbidium floribundum)の花は、ニホンミツバチの集合フェロモンに似た成分(3-ヒドロキシオクタン酸と10-ヒドロキシ-(E)-2-デセン酸の混合物)を放出します。この匂いに新しい巣を探している探索蜂が強く引き寄せられ、待ち箱へ群れを誘導してくれます。

キンリョウヘン以外にニホンミツバチを誘引できる蘭はありますか?

ミスマフェット(キンリョウヘン×デボニアナムの交配種)、フォーゴットンフルーツ、アクシデンタル(キンリョウヘン×ミスマフェットの交配種)などが誘引効果を持っています。まずは入手しやすく実績の多いキンリョウヘンから始めるのがおすすめです。

キンリョウヘンはどこで購入できますか?

ヤフオクなどのネットオークション、楽天市場の園芸専門店、九州みつばち工房さんのホームページなどで購入できます。購入時期は花芽付きの株が出回る1月〜2月がベストです。必ず「花芽付き」と明記されている株を選びましょう。

キンリョウヘンの開花時期を分蜂に合わせるにはどうすればいいですか?

目標の開花日から逆算して40〜50日前に、つぼみが膨らんだ株を玄関や暖房していない部屋など15度を超えない涼しい室内に取り込みます。早く咲きすぎそうな場合は屋外の軒下(霜が当たらない場所)に戻して成長を遅らせます。複数鉢を時期をずらして取り込むと、誘引期間を長くキープできます。

キンリョウヘンにネットを被せるのはなぜですか?

ミツバチが花に触れて受粉すると、花はフェロモンの放出を止めてすぐに萎れてしまいます。100円ショップの洗濯ネットなどで鉢ごと覆うことで受粉を防ぎ、誘引期間を長く保てます。フェロモンは気体なのでネット越しでも問題なく蜂を誘引できます。

キンリョウヘンの開花調整に失敗した場合はどうすればいいですか?

市販の「待ち箱ルアー」を使う方法があります。キンリョウヘンの誘引成分を人工合成した製品で、開封後45日以上効果が持続します。開花時期の調整を気にせず使えるため、キンリョウヘンのバックアップとしても有効です。

キンリョウヘンと待ち箱ルアー、どちらを使うのが良いですか?

どちらも誘引効果は十分ですが、特徴が異なります。待ち箱ルアーは注文して取り付けるだけで手軽に使え、45日以上効果が持続します。キンリョウヘンは栽培の手間がかかりますが、株分けで増やせるため、育てる手間を惜しまなければ、長期的には製品コストを抑えられます。両方を併用するのが最も確実です。

まとめ:キンリョウヘンを活用して分蜂群をゲットしよう

キンリョウヘンは、ニホンミツバチ養蜂における「生きているルアー」です。

  1. 花芽付きの株を冬に入手する。
  2. 春の分蜂時期に合わせて、温度管理で開花時期を調整する。
  3. 開花したら必ずネットを被せて、花持ちを良くする。
  4. 適宜待ち箱ルアーを組み合わせる

これらのポイントを押さえれば、捕獲確率はグッと上がります。 是非キンリョウヘンを活用して、春の分蜂シーズンを楽しんでください!

参考記事

巣箱の設置方法はこちらの記事で詳しく説明してます。

ニホンミツバチ飼育全般について以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。

参考:YouTube動画

私がニホンミツバチを飼育している様子をYouTube動画にしていますので、良かったらご訪問いただければと思います。

YouTubeチャンネルはこちらです。

南箱根の田舎暮らし – はちみつ果樹園だより

本記事の内容を実演を交えながら解説するYouTube動画を配信してます。ぜひ御覧下さい。

終わりに

ここまで読んでくださりありがとうございました。この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

自然に囲まれた場所で、果樹を育てたり日本蜜蜂を飼ったりしながら暮らしています。
田舎の暮らしも不便さばかりではなく、便利な道具や家電を取り入れることで、快適さと楽しさの両立を目指しています。
このブログでは、養蜂や果樹栽培といった趣味の実体験に加えて、暮らしをちょっと便利にしてくれる道具の紹介や、将来に備えた気軽なマネーの工夫についても発信しています。
田舎でも都会でも、暮らしを「ちょっと楽しく、ちょっと賢く」するヒントをお届けできれば嬉しいです。

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